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住宅ローン

ペアローン・連帯債務・連帯保証の違い|夫婦の住宅ローンの選び方

夫婦で住宅ローンを組むときには、ペアローン・連帯債務型・連帯保証型の3つの組み方があります。借入額の上限、住宅ローン控除の適用範囲、団体信用生命保険(団信)の加入、離婚や死亡時のリスクは、それぞれ大きく異なります。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2025年4月公表)によると、夫婦合算で住宅ローンを組む割合は約3割で、増加傾向にあります。年収バランスや働き方によって最適な組み方が変わるため、それぞれの仕組みと注意点を整理して比較することが重要です。この記事では、3つの方式の違いを構造的に整理し、選び方の判断基準を解説します。

3つの組み方の基本構造

夫婦で住宅ローンを組む場合、契約形態は大きく3種類に分かれます。それぞれ「ローン契約者は誰か」「どちらが返済義務を負うか」が異なります。

ペアローン

夫と妻がそれぞれ独立した住宅ローンを契約する方式です。同じ金融機関で同じ物件のために2本のローンを組み、お互いが相手のローンの連帯保証人となります。借入額・金利・返済期間は個別に設定でき、契約時の事務手数料や登記費用も2本分かかります。

連帯債務型

1本のローン契約に対し、夫婦の両方が「主たる債務者」と「連帯債務者」として連名で借入する方式です。フラット35や一部の民間銀行で採用されています。ローン契約は1本ですが、夫婦の両方が同等の返済義務を負います。

連帯保証型

1本のローン契約で、契約者は夫婦の片方(主債務者)のみ。もう片方は「連帯保証人」となり、主債務者が返済できなくなった場合に返済義務を引き継ぐ方式です。住宅ローンの審査で年収を合算する際に使われる形式で、保証人側に返済義務はあるものの、ローンの名義人ではありません。

契約構造の違い(一覧)

項目ペアローン連帯債務型連帯保証型
ローン契約数2本1本1本
名義人夫婦それぞれ夫婦両方主債務者のみ
借入額の上限各自の年収で個別審査夫婦合算年収で審査夫婦合算年収で審査
持分登記それぞれの借入比率に応じて夫婦の出資比率に応じて主債務者のみが原則
事務手数料2本分(割高)1本分1本分

ペアローンと連帯債務型は「夫婦の合算年収で借入額を増やせる」点で似ていますが、契約構造と団信の取り扱いに大きな違いがあります。

住宅ローン控除の適用範囲

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末残高の0.7%を所得税・住民税から13年間控除する制度です。3つの方式で適用範囲が異なるため、控除額に差が出ます。

項目ペアローン連帯債務型連帯保証型
夫の控除自分の借入額分持分比率に応じて借入全額(主債務者なら)
妻の控除自分の借入額分持分比率に応じて適用なし
控除総額夫婦の借入合計分夫婦の借入合計分主債務者の借入分のみ

ペアローンと連帯債務型では、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられます。たとえば借入合計4,000万円で夫2,000万円・妻2,000万円の持分なら、それぞれの年末残高に対して0.7%が控除されます。

連帯保証型では、連帯保証人側は住宅ローン控除を受けられません。妻が連帯保証人で実際に返済の一部を負担していても、控除対象外です。年収バランスによっては、ペアローンや連帯債務型のほうが税制メリットが大きくなります。

控除上限額(年間最大40万円・新築長期優良住宅で年間最大35万円)に注意してください。借入額が大きいと、夫1人での控除では上限を超えて控除しきれない金額が発生します。ペアローンや連帯債務型なら夫婦に控除を分散できるため、控除を最大限に活用できる可能性が高くなります。

住宅ローン控除の詳細な仕組みは住宅ローン控除13年の活用法で解説しています。

団体信用生命保険(団信)の違い

団信は契約者が死亡または高度障害になった場合に、ローン残高が完済される保険です。3つの方式で団信の加入範囲が異なるため、万が一のときの返済負担に大きな差が出ます。

項目ペアローン連帯債務型連帯保証型
夫の団信加入加入(自分のローン分)加入(全額対象)加入(全額対象)
妻の団信加入加入(自分のローン分)フラット35のみ加入可(夫婦連生)加入なし
夫が死亡時の残債夫のローン分のみ完済(妻のローンは残る)全額完済(連帯債務型 or 夫婦連生団信)全額完済
妻が死亡時の残債妻のローン分のみ完済(夫のローンは残る)連生団信なら完済(夫婦連生型)残債そのまま(団信加入なし)

ペアローンの最大の注意点は、夫婦のどちらかが死亡しても残されたほうのローンは継続する点です。夫が死亡した場合、夫の借入分は団信で完済されますが、妻の借入分は妻が引き続き返済する必要があります。妻に十分な収入がない期間(産休・育休・退職等)は、家計が一気に厳しくなるリスクがあります。

連帯債務型はフラット35の「夫婦連生団信(デュエット)」で両者の死亡を補償できる点で、ペアローンより安全度が高い構造です。ただし金利は通常のフラット35より0.18%程度上乗せされます。

連帯保証型は主債務者のみが団信加入するため、主債務者が死亡すれば全額完済されます。ただし連帯保証人(妻)が死亡しても残債はそのまま残ります。妻側の収入が家計に大きく寄与している場合は、別途生命保険で備えることが必要です。

団信の特約(がん団信・3大疾病団信等)の加入可否も方式で異なります。ペアローンならそれぞれが好きな特約を選べますが、連帯債務型は契約者の片方のみが特約を選ぶ形になります。

離婚・死亡・退職時のリスク

夫婦で住宅ローンを組む際、最も慎重に検討すべきは「想定外の事態が発生したときの返済責任」です。

離婚時のリスク

ペアローンと連帯債務型は、離婚しても夫婦両方の返済義務が続きます。家を売却して残債を返済できればよいですが、住宅価格が下がっていてオーバーローンの状態だと、家を出ていくほうも返済を続ける必要があります。

連帯保証型は主債務者が単独で借入しているため、離婚時にローンを引き継ぐ場合は主債務者が単独で返済を続けます。ただし保証人を外すには、金融機関の同意と保証人の差し替えが必要で、簡単には変更できません。

離婚時にローン契約を1人にまとめる「借り換え」は、単独の収入で審査を通る必要があります。年収が下がっている場合は審査に通らないリスクがあります。

妻の退職・育休による収入減

ペアローンと連帯債務型は、夫婦の収入を前提に借入額を決めるため、妻の退職や育休で収入が減ると返済が苦しくなります。とくにペアローンでは妻の名義で借入しているため、妻の収入で妻のローンを返済する建付けになっており、産休・育休中の家計負担が大きくなります。

夫婦どちらかが退職する可能性がある場合は、無理のない借入額に抑えるか、妻の借入比率を低めに設定するのが現実的です。

死亡時のリスク

団信の項目で整理したとおり、ペアローンは死亡時の残債リスクが最も大きい方式です。連帯保証型と連帯債務型(夫婦連生団信)は死亡リスクへの備えがある分、ペアローンより安心感があります。

夫婦間の収入バランスや働き方は時間とともに変化するため、想定外への耐性は意識して設計することが大切です。住宅ローンの組み方の総論は住宅ローンの組み方ガイドで整理しています。

借入額・諸費用の比較

3つの方式で借入額の上限と諸費用が大きく変わります。

借入額の上限

夫婦合算年収を前提に審査するペアローンと連帯債務型は、単独契約の連帯保証型よりも多く借りられる傾向があります。

例: 夫年収500万円・妻年収400万円借入可能額の目安
ペアローン(夫500万・妻400万で個別審査)合計5,500万〜7,000万円
連帯債務型(合算900万円で審査)5,500万〜6,500万円
連帯保証型(夫単独500万円で審査+妻保証)4,000万〜5,000万円
単独借入(夫500万円のみ)3,500万〜4,500万円

ただし借入額を増やすこと自体が目的化すると、家計の余裕がなくなります。借入額の上限は「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」で判断するのが原則です。返済負担率は手取り年収の20〜25%以内が目安です。

諸費用の違い

ペアローンは2本契約のため、事務手数料・登記費用・印紙税が2本分かかります。一方、連帯債務型と連帯保証型は1本のローン契約なので諸費用は1本分です。

諸費用項目ペアローン(4,000万円)連帯債務型(4,000万円)
事務手数料(借入額の2.2%)88万円(合計)88万円
印紙税4万円(2本分)2万円
抵当権設定登記費用16万〜24万円8万〜12万円
司法書士報酬10万〜15万円5万〜10万円

ペアローンは登記費用と司法書士報酬が約倍になるため、諸費用の差は20万〜30万円程度になることがあります。住宅ローンの諸費用全体は住宅ローン事務手数料の比較で詳しく整理しています。

夫婦の働き方別のおすすめ

3つの方式のどれが向くかは、夫婦の年収バランスと働き方で変わります。

ペアローンが向く夫婦

連帯債務型(フラット35)が向く夫婦

連帯保証型が向く夫婦

単独借入が向く夫婦

夫婦の年収バランスや今後のキャリアプランで判断することが重要です。借入額を増やすことが目的になると、家計の柔軟性が失われます。

持分登記の決め方

ペアローンと連帯債務型では、住宅の持分登記比率を借入比率と一致させる必要があります。借入比率と持分比率がずれると、贈与税が発生する可能性があります。

たとえば物件価格4,000万円、夫婦の借入が夫2,400万円・妻1,600万円(自己資金なし)なら、持分は夫6:妻4で登記します。妻の持分を5:5にすると、夫から妻へ8.0%(200万円相当)の贈与とみなされ、贈与税の課税対象になります。

頭金を出す場合も同様に、自己資金の出資比率を考慮して持分を決めます。複雑になる場合は司法書士に相談し、登記前に持分比率を確認することが大切です。

連帯保証型は主債務者の単独名義が原則ですが、妻が頭金を出す場合はその比率に応じて妻の持分を設定できます。

住宅ローン控除の控除額シミュレーション

借入総額4,000万円・新築・長期優良住宅・夫婦の年収比6:4のケースで、3つの方式の控除額を比較します。

方式借入の名義1年目の控除額(合計)13年間の控除総額(目安)
ペアローン夫2,400万・妻1,600万28万円約280万〜340万円
連帯債務型夫6:妻428万円約280万〜340万円
連帯保証型夫4,000万単独28万円(上限なら満額)約260万〜320万円

借入総額が同じでも、ペアローンと連帯債務型は夫婦に控除を分散できるため、控除額が控除上限に届きにくく、結果として控除額をフル活用できる可能性が高くなります。

連帯保証型は主債務者の所得税・住民税から控除する形になるため、主債務者の納税額が少ないと控除しきれない金額が発生します。年収500万円程度の主債務者なら、年間控除額28万円のうち5〜10万円程度が控除しきれずに失われるケースもあります。

金融機関の対応状況

3つの方式の取り扱いは金融機関で異なります。

金融機関ペアローン連帯債務型連帯保証型
三菱UFJ銀行取扱あり不可取扱あり
みずほ銀行取扱あり不可取扱あり
三井住友銀行取扱あり不可取扱あり
住信SBIネット銀行取扱あり不可取扱あり
auじぶん銀行取扱あり不可取扱あり
フラット35(住宅金融支援機構)取扱なし取扱あり(収入合算)取扱なし

連帯債務型は、フラット35と一部の地方銀行・信用金庫が中心です。メガバンクやネット銀行はペアローンと連帯保証型がメインで、連帯債務型は扱っていません。

各銀行の比較は住宅ローン・資金計画のすべてに整理しています。借入額・金利・諸費用・団信特約まで含めて、複数行の見積もりを取り、夫婦の状況に合う方式を選んでください。

夫婦の住宅ローンの組み方は、年収バランス・働き方・将来のライフプランで最適解が変わります。複数の住宅会社から提携金融機関の条件を含めた提案を受けると、ペアローン・連帯債務・連帯保証それぞれの試算を比較しやすくなります。注文住宅の一括見積もりサービスなら、住宅プランと資金計画を同時に検討できます。2社以上の比較で、夫婦の家計に合う組み方が見えてきます。

よくある質問

ペアローンと連帯債務はどちらを選ぶべきですか? 夫婦ともに正社員で年収バランスが近いならペアローンが向いています。住宅ローン控除を夫婦それぞれが最大限活用でき、団信特約も個別に選べる点がメリットです。ただし諸費用が2本分かかり、死亡時の残債リスクが片方にしか及ばない構造である点に注意が必要です。連帯債務型(フラット35)は1本のローンで夫婦連生団信を組めるため、死亡リスクへの備えを重視するなら向いています。
ペアローンの最大のデメリットは何ですか? 夫婦のどちらかが死亡しても、残されたほうのローンは継続する点が最大のデメリットです。夫が死亡した場合、夫のローン分は団信で完済されますが、妻のローン分は妻が返済を続ける必要があります。妻が産休・育休・退職などで収入が減ると、返済負担が一気に重くなります。離婚時も夫婦両方に返済義務が残るため、想定外の事態への備えを意識する必要があります。
連帯保証型でも住宅ローン控除を受けられますか? 連帯保証人側は住宅ローン控除を受けられません。控除を受けられるのは主債務者のみで、連帯保証人が実際に返済の一部を負担していても対象外です。夫婦の両方で住宅ローン控除を活用したい場合は、ペアローンか連帯債務型を選ぶ必要があります。年収バランスや借入額によっては、控除を最大化するためにペアローンを選ぶ価値が出てきます。
離婚するときペアローンや連帯債務はどうなりますか? ペアローンと連帯債務型は離婚しても夫婦両方の返済義務が続きます。家を売却してローンを完済できればよいですが、オーバーローンの場合は売却後も残債を返済し続ける必要があります。1人の単独名義に借り換えるには、その人の単独収入でローン審査を通る必要があり、年収によっては審査が通らないケースがあります。離婚時のリスクを抑えたい場合は、最初から借入額を抑えるか、単独名義で借りる選択肢も検討してください。
夫婦で年収差が大きい場合はどの方式が向きますか? 夫の年収が妻の2倍以上あるなど年収差が大きい場合は、連帯保証型または夫の単独借入が現実的です。ペアローンや連帯債務型で妻側の借入比率を高くすると、妻が産休・育休・退職した際に返済が苦しくなります。妻側の住宅ローン控除を捨ててでも、家計の安定性を優先する判断もあります。借入額が大きい場合は連帯債務型(フラット35)で1本にまとめ、夫婦連生団信で死亡リスクに備える方法も選択肢です。

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