執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
住宅ローンの保証料の相場と仕組み|一括払い・上乗せ型・保証料なしの違いと注意点
住宅ローンを申し込むとき、金利とは別に「保証料」という費用がかかることがあります。借入額3,000万円・35年返済の場合、保証料は60万〜80万円前後になるため、住宅購入の諸費用のなかでも大きな割合を占めます(金融機関の商品条件による目安)。住宅ローンの保証料は支払い方法によって初期費用と月々の返済額が変わるため、仕組みを理解しないまま契約すると、総支払額で数十万円の差が生まれることもあります。
一方で「保証料なし」をうたう住宅ローンも増えています。保証料がゼロならお得に見えますが、代わりに事務手数料が高額に設定されていたり、繰り上げ返済しても費用が戻らない仕組みになっていたりと、単純な比較では判断を誤る可能性があります。
この記事では、保証料の仕組みと保証会社の役割を整理したうえで、一括前払い型と金利上乗せ型の違い、保証料の相場、保証料なしの住宅ローンの落とし穴、繰り上げ返済時の戻し保証料まで解説します。
保証料の仕組みと保証会社の役割
住宅ローンの保証料とは、保証会社に保証を依頼するための費用です。保証会社は住宅ローン契約における「連帯保証人の代わり」を果たす存在で、借主が返済不能になった場合に、借主に代わって金融機関に残債を弁済します。
ここで誤解されやすい点があります。保証会社が代位弁済(代わりに返済)したからといって、借主の返済義務がなくなるわけではありません。返済義務は保証会社に移り、今度は保証会社から借主への請求が始まります。つまり保証料は、借主を守るための保険ではなく、金融機関がリスクを軽減するための仕組みです。
なぜ保証料を払う必要があるのか
かつて住宅ローンでは連帯保証人を立てるのが一般的でしたが、保証人の確保が困難であることや保証人とのトラブルが問題となり、1970年代以降、保証会社を利用する方式に切り替わりました。現在は都市銀行・地方銀行・信用金庫の多くが保証会社の利用を融資条件としています。
保証会社は金融機関のグループ会社であるケースが多く、三菱UFJ銀行であれば三菱UFJ住宅ローン保証、みずほ銀行であればみずほ信用保証といった系列保証会社が審査と保証を担当します。
一括前払い型と金利上乗せ型の違い
保証料の支払い方法には2つの型があります。金融機関によってどちらか一方しか選べない場合と、借主が選択できる場合があります。
一括前払い型(外枠方式)
融資実行時に保証料の全額を一括で支払う方法です。住宅ローンの諸費用としてまとまった金額が必要になりますが、月々の返済額には保証料が反映されないため、毎月の返済負担は軽くなります。
金利上乗せ型(内枠方式)
保証料を金利に0.2%程度上乗せして、毎月の返済額に含めて支払う方法です。初期費用を抑えられる代わりに、借入期間全体で支払う保証料の総額は一括前払い型より大きくなります。
2つの型の比較
借入額3,000万円・35年返済・元利均等返済・金利1.5%(金利上乗せ型は1.7%)で試算した場合の比較です。
| 項目 | 一括前払い型 | 金利上乗せ型 |
|---|---|---|
| 保証料の支払いタイミング | 融資実行時に一括 | 毎月の返済額に含む |
| 保証料の目安 | 約62万円 | 金利+0.2%(総額約120万円相当) |
| 初期費用への影響 | 大きい(数十万円の現金が必要) | 小さい(初期費用に含まれない) |
| 毎月の返済額 | 91,855円(金利1.5%) | 95,571円(金利1.7%) |
| 繰り上げ返済時の戻し保証料 | あり(条件つき) | なし |
| 借入期間が短い場合 | 割安 | 割高 |
| 総支払額 | 有利 | 不利 |
一括前払い型は初期費用が増えますが、35年間の総支払額では金利上乗せ型より数十万円安くなるのが一般的です。手元資金に余裕があるなら一括前払い型を選ぶほうが合理的です。一方、頭金で手元資金を使い切ってしまう場合は、無理に一括前払い型を選ぶと生活防衛資金が不足するリスクがあります。頭金なしで住宅ローンを組む場合のリスクと判断基準も参考に、資金計画全体のなかで支払い方法を決めてください。
保証料の相場
一括前払い型の保証料は、借入額と返済期間によって変わります。保証料率は保証会社ごとに異なりますが、都市銀行系の保証会社では借入額100万円あたりの保証料を返済期間別に設定しているのが一般的です。
借入額100万円あたりの保証料目安(一括前払い型)
| 返済期間 | 保証料(100万円あたり) |
|---|---|
| 15年 | 約11,982円 |
| 20年 | 約14,834円 |
| 25年 | 約17,254円 |
| 30年 | 約19,137円 |
| 35年 | 約20,614円 |
この表をもとに借入額別の保証料を計算すると、おおよそ次のようになります(借入額100万円あたりの保証料からの単純計算)。
借入額・返済期間別の保証料目安(一括前払い型)
| 借入額 | 25年返済 | 30年返済 | 35年返済 |
|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 約34.5万円 | 約38.3万円 | 約41.2万円 |
| 3,000万円 | 約51.8万円 | 約57.4万円 | 約61.8万円 |
| 4,000万円 | 約69.0万円 | 約76.5万円 | 約82.5万円 |
| 5,000万円 | 約86.3万円 | 約95.7万円 | 約103.1万円 |
金利上乗せ型の場合は上記の金額を一括で支払う必要はありませんが、0.2%の金利上乗せが35年間続くため、総額では1.5〜2倍程度になります。
保証料は審査結果によって増減します。返済負担率に余裕がある場合や勤続年数が長い場合は標準的な保証料率が適用されますが、審査でリスクが高いと判断された場合は保証料率が割り増しになることがあります。住宅ローン審査に落ちた場合の原因と対処法でも触れていますが、審査結果は保証料にも影響する点を覚えておいてください。
保証料なしの住宅ローンの落とし穴
近年、「保証料なし」をうたう住宅ローンが増えています。ネット銀行を中心に保証会社を利用しない住宅ローン商品が広がっており、初期費用を抑えたい借り手にとって魅力的に映ります。しかし、保証料がゼロだからといって諸費用の総額が安いとは限りません。
事務手数料が高額なケース
保証料なしの住宅ローンの多くは、事務手数料が「借入額の2.2%(税込)」に設定されています。借入額3,000万円の場合、事務手数料は66万円です。これは一括前払い型の保証料(約62万円)とほぼ同水準か、それ以上になります。
保証料と事務手数料の違いは「戻ってくるかどうか」です。一括前払い型の保証料は繰り上げ返済で完済を早めた場合に一部が返金されますが、事務手数料は一度支払うと返金されません。繰り上げ返済を積極的に行う予定がある場合、保証料型のほうが実質的な負担が軽くなる可能性があります。
融資手数料型と保証料型の比較
| 項目 | 保証料型(一括前払い) | 融資手数料型(保証料なし) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 保証料 約62万円 | 事務手数料 66万円 |
| 金利水準 | やや高い傾向 | やや低い傾向 |
| 繰り上げ返済時の返金 | あり(戻し保証料) | なし |
| 借り換え時の返金 | あり(戻し保証料) | なし |
| 審査による変動 | 保証料率が増減する | 手数料率は固定 |
住宅ローンの事務手数料については住宅ローンの事務手数料を銀行12行で比較で詳しく解説しています。保証料と事務手数料は別のコストですが、住宅ローン選びでは両者を合算して初期費用全体で比較する視点が重要です。
連帯保証人を求められるケースも
保証会社を利用しない住宅ローンでは、金融機関が独自にリスクを負うこになります。そのため、収入合算で借り入れる場合や返済比率が高い場合に、配偶者の連帯保証を求められるケースがあります。保証料なしの住宅ローンを検討するときは、連帯保証の要否もあわせて確認してください。
繰り上げ返済時の戻し保証料
一括前払い型の保証料を支払った場合、繰り上げ返済によって返済期間が短縮されると、未経過分の保証料の一部が返金されます。これを「戻し保証料」といいます。
戻し保証料の金額は保証会社の規定によって計算され、単純に月割りで返金されるわけではありません。保証料は返済初期のリスク負担分が大きく設定されているため、返済開始から年数が経過するほど戻し保証料は小さくなります。
戻し保証料の目安
借入額3,000万円・35年返済・保証料約62万円のケースで、全額繰り上げ返済(一括完済)した場合の戻し保証料の目安です。
| 繰り上げ返済のタイミング | 戻し保証料の目安 |
|---|---|
| 5年後に完済 | 約40〜45万円 |
| 10年後に完済 | 約25〜30万円 |
| 15年後に完済 | 約15〜18万円 |
| 20年後に完済 | 約8〜10万円 |
| 25年後に完済 | 約3〜5万円 |
一部繰り上げ返済(期間短縮型)の場合も、短縮された期間に対応する保証料の一部が返金されますが、金額は全額完済時に比べると小さくなります。返済額軽減型の繰り上げ返済では返済期間が変わらないため、戻し保証料は発生しないのが一般的です。繰り上げ返済の2つの方式の違いについては住宅ローン繰り上げ返済の判断基準で詳しく解説しています。
金利上乗せ型の場合は保証料を一括で支払っていないため、繰り上げ返済しても戻し保証料はありません。ただし返済期間が短くなることで金利上乗せ分の支払い総額が減るため、繰り上げ返済のメリット自体はあります。
戻し保証料の請求には、保証会社への手続きが必要です。金融機関によっては戻し保証料の振込手数料(数千円)が差し引かれるため、残額が少ない場合は手数料と相殺されて実質ゼロになることもあります。
保証料と事務手数料の違い
住宅ローンの初期費用で混同されやすいのが保証料と事務手数料です。両者は支払先も目的も異なりますが、借り手にとっては「借入時にかかるまとまったお金」という点で同じように見えるため、整理しておきます。
| 項目 | 保証料 | 事務手数料 |
|---|---|---|
| 支払先 | 保証会社 | 金融機関 |
| 目的 | 保証委託の対価 | 融資事務の対価 |
| 金額の決まり方 | 借入額・期間・審査結果 | 定額(数万円)または定率(借入額の2.2%) |
| 繰り上げ返済時の返金 | あり(一括前払い型の場合) | なし |
| 金利への影響 | 上乗せ型は+0.2%程度 | 手数料型は金利が低い傾向 |
都市銀行や地方銀行では「保証料型」と「融資手数料型」の2つを用意し、どちらかを選べるようにしている金融機関が増えています。住宅ローンを比較するときは、金利だけでなく保証料と事務手数料を合わせた初期費用の総額と、繰り上げ返済時の返金有無を考慮して判断してください。
保証料を判断に組み込んだ住宅ローンの選び方
ここまでの内容をふまえ、保証料の支払い方法を選ぶ際の判断基準を整理します。
手元資金に余裕があり、繰り上げ返済を計画している場合は一括前払い型が有利です。総支払額が抑えられるうえ、繰り上げ返済時に戻し保証料を受け取れます。
初期費用をできるだけ抑えたい場合は金利上乗せ型を選ぶことで、融資実行時の支出を減らせます。ただし35年間の総支払額は一括前払い型より大きくなるため、長期的なコストを受け入れたうえでの判断になります。
保証料なしの住宅ローンを検討する場合は、事務手数料の金額を確認し、保証料型との総コスト比較を行ってください。金利が低くても事務手数料が高額で繰り上げ返済時に返金されない商品は、借入期間が短い場合や繰り上げ返済を積極的に行う場合に不利になることがあります。
住宅ローンの金利タイプ選びについては住宅ローンは変動と固定どっちが得?で詳しくシミュレーションしています。金利タイプと保証料の支払い方法は別の判断ですが、毎月の返済額と総支払額に影響する点で、あわせて検討する価値があります。
保証料は誰のための仕組みですか?
保証料は金融機関のリスク軽減のための仕組みです。借主が返済できなくなった場合に保証会社が代わりに金融機関へ弁済しますが、借主の返済義務がなくなるわけではありません。弁済後は保証会社から借主への請求に切り替わります。借主を守るための保険ではない点を理解しておく必要があります。
保証料なしの住宅ローンは本当にお得ですか?
保証料がゼロでも、事務手数料が借入額の2.2%(3,000万円なら66万円)に設定されていることが多く、一括前払い型の保証料(約62万円)と大差ないケースがあります。事務手数料は繰り上げ返済しても返金されないため、早期完済や借り換えを予定している場合は、保証料型のほうが実質負担が軽くなる可能性があります。金利と手数料を合わせた総コストで比較してください。
繰り上げ返済すると保証料は全額戻りますか?
一括前払い型の保証料は、繰り上げ返済で返済期間が短縮された場合に未経過分の一部が返金されます。ただし月割りの単純計算ではなく、保証会社の規定に基づく計算のため、支払った保証料の全額が戻るわけではありません。返済開始から年数が経つほど戻し保証料は小さくなります。金利上乗せ型の場合は保証料を一括で支払っていないため、戻し保証料は発生しません。
保証料と事務手数料の違いは何ですか?
保証料は保証会社に支払う保証委託の対価で、事務手数料は金融機関に支払う融資事務の対価です。保証料(一括前払い型)は繰り上げ返済時に一部返金されますが、事務手数料は返金されません。金額の決まり方も異なり、保証料は借入額・期間・審査結果で変動し、事務手数料は定額(数万円)または定率(借入額の2.2%等)で設定されています。