執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
地価上昇率ランキング2026|全国998市区町村TOP20・札幌/江別/流山の上昇要因と土地値上がりランキング
地価上昇率ランキングとは、市区町村別の地価変動率を比較した一覧です。国土交通省が毎年3月に公表する地価公示データから、住宅地の前年変動率を集計して作成します。地価の変動率は、住宅購入やリフォーム、土地活用を考えるときに見落とされやすい指標です。同じ予算でも、地価が上がっている街に買えば資産価値が維持されやすく、下がっている街では将来の売却や担保評価に影響が出ます。
この記事では、国土交通省が毎年1月1日時点で公表する地価公示データをもとに、全国998市区町村(住宅地の調査地点が5地点以上ある自治体)の住宅地における地価変動率をランキング形式で整理しました。上昇率の高い街、下落が続く街それぞれの特徴を読み解き、家づくりや土地選びにどう活かすかを解説します。地価公示の全体像は地価公示データベース、最新の変動トレンドは地価トレンドランキングで確認できます。
全国998市区町村の地価上昇率TOP20(2026年)
令和8年地価公示の住宅地における前年比変動率を市区町村別に集計し、上昇率の高い順に並べました。
| 順位 | 市区町村 | 前年比変動率 |
|---|---|---|
| 1 | 東京都台東区 | +18.5% |
| 2 | 東京都文京区 | +16.0% |
| 3 | 大阪府大阪市西区 | +15.1% |
| 4 | 大阪府大阪市中央区 | +15.0% |
| 5 | 東京都品川区 | +15.0% |
| 6 | 東京都港区 | +15.0% |
| 7 | 大阪府大阪市浪速区 | +14.8% |
| 8 | 東京都豊島区 | +14.3% |
| 9 | 東京都墨田区 | +14.2% |
| 10 | 東京都荒川区 | +13.8% |
| 11 | 東京都目黒区 | +13.7% |
| 12 | 東京都中央区 | +13.5% |
| 13 | 東京都北区 | +13.5% |
| 14 | 東京都江東区 | +13.5% |
| 15 | 大阪府大阪市北区 | +13.3% |
| 16 | 千葉県流山市 | +13.2% |
| 17 | 東京都中野区 | +13.1% |
| 18 | 東京都新宿区 | +12.9% |
| 19 | 東京都千代田区 | +12.8% |
| 20 | 東京都渋谷区 | +12.5% |
TOP20のうち15自治体が東京23区、4自治体が大阪市内の区で、ベッドタウンとして唯一ランクインしたのは千葉県流山市(16位)です。前年の令和7年公示で上位を占めていた札幌圏・福岡圏の自治体はTOP20圏外に押し出され、地価上昇の主役が「地方政令市の周辺」から「東京・大阪の都心と通勤圏」へ完全に移った1年でした。地点単位の前年比は東京都の地価ランキングや千葉県の地価ランキングで公示地点TOP30を確認できます。
1位の台東区は浅草・上野エリアの再開発と訪日客需要の戻り、2位の文京区は文京区後楽園を含む大規模再開発と教育環境を理由とした住み替え需要が背景にあります。3位以下の大阪市西区・中央区・浪速区はうめきた2期の段階的開業、2025年大阪・関西万博の余波、IR計画を含む湾岸開発が複合的に効いている地域です。大阪圏の参考として、梅田駅周辺の公示地価ランキングでは駅徒歩圏の用途別水準と前年比トレンドを確認できます。
千葉県流山市は前年の浦安市に代わって首都圏で唯一TOP20入りしました。つくばエクスプレス(TX)沿線の住宅地として、共働き世帯向けの保育・教育環境を整備した政策が10年以上にわたり継続しており、人口増加率は全国の市区の中でも上位を維持しています。
地価が上がっている街の3つの共通点
上位20自治体を見ると、地価上昇が続く街にはいくつかの共通する構造があります。
都心回帰と資金流入が続いている
東京23区の上昇は、都心マンション需要と海外ファンド・国内不動産投資資金の流入が支えています。コロナ後の都心離れがほぼ反転し、共働き世帯の通勤利便性志向や、富裕層の都心マンション買い替え需要が継続的に地価を押し上げています。大阪市内は2025年大阪・関西万博の開催を契機に、うめきた2期(グラングリーン大阪)、なんば駅前広場再整備、中之島エリアの開発が同時進行で、関西経済圏全体の地価を底上げしている状態です。
人口動態と地価の関係を見ると、東京都の社会増(転入超過)は2024年に約7万人で、前年比で増加。23区への一極集中が続いています。流山市は人口増加が10年以上連続しており、2024年の住民基本台帳人口でも前年比でプラスを維持しています。継続的な人口集中が住宅需要を押し上げ、地価上昇の土台になっています。
再開発・インフラ整備が同時進行している
東京23区の上位はいずれも具体的な再開発計画と紐づきます。港区は虎ノ門・麻布台プロジェクトに続く品川駅周辺の大規模再開発、中央区は日本橋・八重洲の都市再生プロジェクト、渋谷区は渋谷駅周辺再開発の最終段階、千代田区は神田駅周辺のオフィス+住宅複合再開発が進行中です。台東区・文京区も後楽園・上野駅周辺の再整備が住宅地に波及しています。
大阪市は梅田うめきた2期の街びらき、中央区の御堂筋整備、IR計画を控えた湾岸開発と、複数プロジェクトが住宅地評価を引き上げています。再開発は「期待値」の段階から地価に織り込まれるため、計画発表の時点で上昇が始まることが多く、令和8年公示の上昇率にはこれら計画の進捗が反映されている形です。
都心へのアクセスが良好
唯一のベッドタウンとしてランクインした流山市は、TXで秋葉原まで約25分、北千住乗り換えで都心主要駅まで30分台のアクセスを確保しています。子育て世帯にとって「都心通勤30分圏内×子育て支援×新築戸建てが手の届く価格」という三拍子がそろう希少な立地です。
都心の地価が上がりすぎると、住宅購入者は「都心30分圏内のベッドタウン」に流れます。流山市の地価上昇率がTOP20入りした構図は、首都圏の都心マンション価格高騰が郊外の戸建て需要を押し上げているサインでもあります。
地価が下がっている街の特徴
一方で、地価が前年より下落した自治体も存在します。下落率の大きい5自治体を確認します。
| 順位 | 市区町村 | 前年比変動率 |
|---|---|---|
| 1 | 石川県七尾市 | -4.2% |
| 2 | 宮城県気仙沼市 | -3.8% |
| 3 | 広島県江田島市 | -3.5% |
| 4 | 奈良県吉野郡下市町 | -3.3% |
| 5 | 奈良県吉野郡吉野町 | -3.2% |
七尾市の-4.2%は2024年1月の能登半島地震の影響が色濃く反映された結果です。被災家屋の取り壊しと住民の市外移転が進み、宅地需要が大きく落ち込みました。気仙沼市は東日本大震災後の人口流出が長期化しており、復興事業の終了と並行して若年層の市外流出が続いています。
下落自治体に共通するのは人口減少と高齢化の進行です。江田島市は瀬戸内海の島嶼部で、フェリー本数の減少と人口減少が住宅需要を細らせています。奈良県吉野郡下市町・吉野町は林業の縮小と若年層の都市部流出により、地価下落が10年単位で続いています。
地価下落の構造は単純です。住みたい人が減れば住宅需要が減り、需要が減れば地価は下がる。人口の社会減(転出超過)と自然減(出生数より死亡数が多い)が重なる地域では、地価の回復は当面見込みにくいと考えるのが現実的です。
下落率は最大でも-4.2%と、上昇率(最大+18.5%)に比べて振れ幅は依然として小さいことも特徴です。住宅地の地価は下がるときは緩やかに、上がるときは急速に動く傾向があります。「下がりにくい」のではなく「急落はしにくいが長期的にじわじわ下がり続ける」ことが怖い点です。10年間毎年-3%の下落が続くと、累計では約26%の目減りになります。住宅ローンの残債が土地の時価を上回る「担保割れ」の状態に陥るリスクは、じわじわ下がる地域のほうが気づきにくく、対処が遅れやすい面があります。
都心と都心外の二極化が鮮明になった年
令和8年公示で印象的なのは「上昇する地域はますます上昇し、下落する地域はますます下落する」二極化が鮮明になった点です。前年は札幌圏・福岡圏といった地方政令市の周辺が高い伸びを示し、首都圏は浦安市1自治体のみだった構図が、わずか1年で逆転。東京・大阪の都心と通勤圏が上昇率上位を独占する形になりました。
東京23区の上昇メカニズム
東京23区の上昇は、マンション需要・オフィス需要・再開発期待値の三重奏で説明できます。新築マンションの平均価格が首都圏で1億円を超え、希少な戸建て用地への需要も連動して上昇しました。住宅地の調査地点数が多い港区・中央区・渋谷区などの伝統的高地価エリアに加えて、台東区・墨田区・荒川区といった東部の住宅地までもが2桁の上昇率となっています。
23区の上昇が突出している点で、神奈川県・千葉県・埼玉県の周辺自治体への波及も今後加速する可能性があります。すでに流山市がTX沿線で上昇率TOP20入りしたように、「都心通勤30分圏内×新築戸建てが手に入る」立地が今後の上昇候補です。
大阪都心の上昇メカニズム
大阪市西区・中央区・浪速区・北区の上昇は、複数の再開発が短期間に重なったことによる「タイミングの一致」が大きな要因です。2025年大阪・関西万博、うめきた2期(グラングリーン大阪)の街びらき、なにわ筋線2031年開業に向けた整備、IR計画の進捗など、5年以上にわたって複数のメガプロジェクトが同時進行しています。
注目すべきは、東京と異なり大阪は「政令市の中心部」が直接ランクインしている点です。大阪市は東京23区と比べて都心居住の選択肢が広く、職住近接を求める層が大阪市内に集中している構図が浮かびます。京都市や神戸市の通勤圏に流れていた需要が、大阪市内の都市再生で「大阪に戻る」流れが見えます。
千葉県流山市の独立した強さ
流山市は2008年のTX開業以降、共働き世帯を狙った保育・教育環境の整備、駅前開発、エリアマーケティングを継続してきた成果が複利で効いている自治体です。前年公示でTOP20入りしていた浦安市が今回外れたのに対し、流山市は単独で生き残り、首都圏ベッドタウンの代表として上昇率TOP20入りを果たしました。
ベッドタウンが都心と並んで上昇率上位に入る現象は、「都心の住宅価格が手の届かないレベルに到達した結果、TX沿線・常磐線沿線・武蔵野線沿線などのアクセス良好なベッドタウンに需要が押し出されている」サインでもあります。
地価変動率を家づくりに活かす方法
地価の変動率は、家づくりにおいて「土地の将来価値」を見通すための手がかりになります。
土地購入を検討している段階なら、候補地の過去5年間の地価変動率を確認することで、その街が成長フェーズにあるのか、縮小フェーズにあるのかを大まかに判別できます。各市区町村の取引相場は取引相場データベースでも確認できます。
地価が上昇している街は、住宅ローンの担保評価が安定しやすく、将来売却するときに購入時の価格を下回りにくい傾向があります。反面、地価上昇が加速すると建築コストも上がるため、予算と時期の見極めが重要です。
すでに土地を持っている人にとっては、地価の上昇は土地活用の選択肢が広がるサインでもあります。相続した土地や遊休地が上昇エリアにあるなら、賃貸住宅や駐車場、事業用貸地としての需要を見積もる価値があります。土地活用の方法については土地活用の方法と選び方で体系的に整理しています。
地価変動率を見るときの注意点が一つあります。地価公示は毎年1月1日時点の評価であり、1年に1回しか更新されません。半年前、3ヶ月前の動きは反映されていないため、直近の取引事例(国土交通省の不動産取引価格情報や不動産情報ライブラリ)と組み合わせて判断するのが実務的です。
住宅ローンを組む際、金融機関は担保評価に地価公示や路線価を参照します。地価が上昇している地域では担保評価額が購入価格に近づきやすく、頭金が少なくてもローンが組みやすい傾向があります。逆に、地価下落地域では担保不足を理由に融資条件が厳しくなることがあるため、ローン審査の観点からも地価動向は無視できません。
土地を持っている方の場合、上昇エリアの遊休地は「持っているだけでも価値が増えている」状態ですが、固定資産税の評価額も上昇するため、税負担との兼ね合いも見ておく必要があります。固定資産税は3年に1度の評価替えで見直されるため、地価上昇が評価額に反映されるまでにタイムラグがあります。
地価上昇局面で「今買うか・待つか」の判断軸
地価上昇率が二桁の街では、「今買うと高値づかみではないか」「待てばもっと下がるのではないか」と判断に迷う場面が増えます。過去のサイクルと金利環境から、判断軸を整理します。
過去の上昇サイクルと反転のタイミング
住宅地の地価は、長期的に見るとマクロ経済・金利・人口動態の3要素で上下します。バブル期(1986〜1991年)の急上昇後の長期下落、2002〜2007年の都心部緩やかな回復、2013年以降の量的緩和期の上昇トレンドと、サイクル単位で動きます。
| サイクル | 主要因 | 反転のサイン |
|---|---|---|
| バブル期上昇(1986-1991) | 過剰流動性・土地神話 | 政策金利引き上げ・総量規制 |
| デフレ期下落(1992-2005) | 不良債権・人口減少懸念 | 金融再生・都心マンション需要回復 |
| 緩やか回復期(2006-2012) | 都心マンション需要 | リーマンショック・東日本大震災で一時停滞 |
| 量的緩和期上昇(2013-2024) | 低金利・インバウンド・再開発 | 金利上昇・需要一巡 |
2024年の日本銀行マイナス金利解除以降、2025年に政策金利は0.5%→0.75%まで段階的に引き上げられました。住宅ローン金利の上昇は住宅需要の頭打ちを招くため、過去のサイクルから見れば「上昇期の終盤」に入りつつある可能性は意識しておくべき局面です。ただし都心の供給制約は構造的で、金利上昇だけで反転するとは限らない点も注意してください。
「今買う」と「待つ」のコスト比較
待つ間の機会コストと、上昇局面で買うリスクを定量化すると判断しやすくなります。
| 判断 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 今買う(上昇局面) | 賃貸家賃の継続支払いを止められる、住宅ローン控除を早期に開始 | 上昇局面の高値で取得、金利上昇局面で返済額増のリスク |
| 1〜2年待つ | 金利動向・地価動向を見極められる | 待つ間の賃貸家賃が発生、建築コストもさらに上がる可能性 |
| 上昇率が低い地域で買う | 取得コスト抑制、将来の上昇余地 | 資産価値の維持が読みにくい、将来売却で苦戦の可能性 |
実務的には、「住み続けたい地域に予算内で買える物件がある」のであれば、地価サイクルを完璧に読もうとせず取得を進めるのが現実的です。地価のピーク・ボトムを読み切るのは専門家でも難しく、「今買って5年で-10%」になるリスクと「2年待って金利と建築費が両方上がる」リスクは同じくらいに考えるべきです。
上昇地域で買うときの注意点
地価上昇エリアでは、土地取得費用に加えて建築費用も上昇傾向にあるため、総予算が当初想定を超えやすくなります。土地値上がりランキング上位の自治体で住宅取得を進める場合は、見積もりを複数社で取得し、建築費の総額・将来の固定資産税の見通しまで含めた資金計画を立てることが現実的です。
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よくある質問
地価上昇率ランキングはいつ更新されますか?
地価上昇率ランキングは、国土交通省の地価公示が公表される毎年3月ごろに更新できます。地価公示は1月1日時点の価格を示すため、年の途中に起きた取引価格の変化は反映されません。直近の動きは不動産取引価格情報などとあわせて見るのが実務的です。
地価が上がる地域に共通する条件は何ですか?
人口流入、再開発、交通利便性、雇用の受け皿がそろう地域は地価が上がりやすい傾向があります。東京23区や大阪都心のように、都市の中心部で再開発と資金流入が同時に進む地域は、住宅地の上昇率も大きくなる傾向があります。単年の上昇率だけでなく、5年程度の人口動態と開発計画を確認してください。
地価上昇率ランキングはどこのデータに基づいていますか。
国土交通省が毎年3月に公表する「地価公示」のデータです。全国約26,000地点の標準地について、1月1日時点の正常な価格を不動産鑑定士2名以上が評価し、前年との変動率を算出しています。この記事では住宅地の変動率を市区町村単位で集計しています。
地価が上がっている街に家を建てるのは損ですか。
地価上昇は土地の取得費用を押し上げますが、資産価値が維持されやすいというメリットもあります。住宅ローンの担保評価が安定し、将来の売却や借換えで有利に働くことがあります。上昇率が高い時期に慌てて購入するリスクはありますが、「地価が上がっている=損」とは限りません。予算内で購入できるなら、下落が続く地域より資産防衛の面で有利です。
地価が下がっている街には住まないほうがいいですか。
一概にそうとは言えません。地価が低い地域は土地取得コストが安く、広い土地を確保しやすいメリットがあります。転勤や転売の予定がなく、終の棲家として住むなら、地価の下落はあまり影響しません。ただし、人口減少が進む地域では生活インフラ(商業施設、医療機関、公共交通)の縮小が進む可能性があるため、20年後の生活環境を想像しておくことが大切です。
今後も地価が上がり続ける街はどこですか。
将来の地価を正確に予測することはできませんが、過去5年の傾向を見ると、人口流入が続き、再開発やインフラ整備が計画されている都市圏は引き続き上昇圧力が強いと考えられます。東京23区はマンション需要と再開発、大阪都心はうめきた2期や万博関連の再開発、流山市などTX沿線はベッドタウン需要が継続的に上昇要因となります。一方、金利上昇や景気後退が起これば全国的に調整が入る可能性もあるため、一つの指標だけで判断しないことが重要です。
地価公示と路線価の違いは何ですか。
地価公示は国土交通省が毎年1月1日時点で公表する土地の「正常な価格」で、土地取引の指標になります。路線価は国税庁が毎年7月に公表する相続税・贈与税の算定基準で、地価公示価格の約80%が目安です。土地の売買では地価公示、相続や贈与の税額計算では路線価を参照するのが一般的です。