執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
空き家の補助金・助成金一覧|解体・改修・取得で使える制度まとめ
空き家の解体、改修、取得には、思った以上の費用がかかります。木造30坪の解体で100万円以上、フルリノベーションなら数百万円から1,000万円超になることも珍しくありません。
こうした費用の一部を補填してくれるのが、国や自治体の補助金・助成金制度です。制度は大きく「解体」「改修」「取得」の3つに分かれ、対象要件や補助額はそれぞれ異なります。この記事では、空き家に関連する主要な補助金を一覧で整理し、申請の流れ、注意点、調べ方をまとめます。
空き家解体に使える補助金
老朽化した空き家を解体する際に利用できる制度です。自治体によって名称、補助額、対象条件が異なりますが、大枠は共通しています。
空き家解体費助成(自治体独自)
自治体が危険な空き家の解消などを目的に設ける制度です。制度のない地域もあり、空き家というだけで対象になるわけではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 自治体ごとに補助率と限度額を設定。全国共通額はない |
| 対象建物 | 特定空家に指定された空き家、老朽危険空家、1年以上居住実績がない空き家 |
| 主な条件 | 市区町村内に所在、一定の老朽度判定を満たす、税金滞納がない |
| 申請期限 | 年度初め(4〜5月)に受付開始。予算到達で早期終了あり |
たとえば長崎市の2026年度特定空家等除却費補助金では、除却費の一部を最大50万円まで補助する制度が案内されています(2026年10月9日確認)。これは長崎市の例であり、他地域の上限や採択を保証するものではありません。対象が「特定空家」や「老朽危険空家」に限定される自治体と、一定の空き家全般を対象にする自治体があるため、事前に条件を確認してください。
解体費用の相場自体については空き家の解体費用の相場と安く抑える方法で詳しく整理しています。
除却後の土地活用助成
解体後の跡地を地域に開放する場合に使える補助金です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 自治体の要綱により確認。解体費と整備費の対象範囲も異なる |
| 対象用途 | ポケットパーク、防災空地、地域の広場、菜園 |
| 条件 | 解体後の開放期間、管理担当、途中で用途変更した場合の扱いを確認 |
すべての自治体にあるわけではありませんが、解体助成と組み合わせて使える場合、自己負担をさらに抑えられます。跡地を駐車場にする場合は対象外のことが多いので、用途の条件を確認してください。
空き家再生等推進事業(国・社会資本整備総合交付金)
国が市区町村に交付金を出し、自治体が空き家の除却・活用を支援する仕組みです。個人が国に直接申請するのではなく、市区町村の補助事業を通じて間接的に恩恵を受けます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 事業区分や実施主体によって異なる。個人への補助率は自治体の要綱で確認 |
| 対象 | 自治体の事業区域・建物要件・活用目的に適合する空き家 |
| 個人の申請先 | 市区町村の空き家対策窓口 |
この交付金が自治体に入ることで、自治体独自の解体助成や改修助成の原資になっています。個人オーナーとしては「自治体の補助金を申請する」という形で利用するのが一般的です。
空き家改修に使える補助金
空き家を解体せずに改修して再利用する場合に使える制度です。改修の目的(耐震、省エネ、バリアフリー、移住促進)によって利用できる制度が変わります。
空き家改修助成(自治体独自)
空き家バンク登録物件の改修や、移住者向けの空き家リフォームに助成金を出す自治体が多いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 補助対象工事費に補助率を掛け、区分別の上限と比較して決定 |
| 対象建物 | 空き家バンク登録物件、自治体が認定した空き家 |
| 主な条件 | 改修後に居住・賃貸に供すること、定住要件がある場合あり |
| 併用可否 | 国の制度との併用が可能な場合がある |
自治体によっては「空き家バンクに登録されていること」が条件になっているケースがあります。空き家バンクの仕組みと登録方法は空き家バンクの登録と活用方法を参照してください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業は2026年度に実施しない
既存住宅の性能向上を支援していた事業ですが、事務局の公式案内では、2025年度の交付申請を締め切り、2026年度は実施しないと明記されています(2026年10月9日確認)。過去の上限額を見て、これからの改修費用から差し引かないでください。
| 確認事項 | 2026年10月9日時点の扱い |
|---|---|
| 2025年度分の新規交付申請 | 受付終了 |
| 2026年度の事業 | 実施しない旨を公式に案内 |
| 長期優良住宅の認定 | 補助事業とは別制度。認定の相談先は所管行政庁等 |
| これからの改修 | 自治体の改修助成や住宅省エネ2026キャンペーンを別途確認 |
認定を取れる工事でも補助金を受けられるとは限りません。住宅会社から「長期優良住宅化の補助が使える」と説明された場合は、事業名・年度・申請先を見積書に対応させ、どの制度を指すのか確認しましょう。
子育て・移住に伴う改修補助は対象者を確認する
空き家の改修費を助成する制度には、購入して住む人だけでなく、移住者に貸す所有者を対象にするものもあります。秋田市の2026年度空き家定住推進事業では、移住者による購入の場合、補助対象工事費の1/2で上限100万円という区分があります。
同事業は購入代金そのものへの助成ではなく、増改築・リフォーム工事が対象です。築年数、市内業者による施工、年度内の居住開始、交付決定後10年以上の居住・賃貸などの条件もあるため、「空き家を買えば100万円」とは読み替えられません。世帯属性だけでなく、誰が発注し、誰が住むかまで要綱と照合してください(2026年10月9日確認)。
空き家の取得に使える補助金
空き家を購入する側が利用できる補助金です。移住促進やUIJターンの推進を目的とした制度が中心です。
空き家購入助成(自治体独自)
空き家バンクに登録された物件を購入し、定住する場合に助成金を出す制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 購入代金を対象にするか、改修費のみかを含めて自治体ごとに確認 |
| 対象 | 空き家バンク登録物件の購入 + 定住要件 |
| 条件 | 購入後の居住期間、転入時期、対象区域、申請前の売買契約可否など |
地方創生の一環として、多くの自治体が設けています。移住者だけでなく、Uターン(出身地に戻る)者も対象になる場合があります。定住要件を満たせないと返還を求められることがあるため、条件をよく確認してください。
移住支援金(国 + 自治体)
東京23区への在住・通勤歴などの条件を満たす方が、対象地域へ移住して就業・起業等をする場合の支援です。空き家の取得自体を条件とする制度ではなく、他の補助との併用はそれぞれの要綱で確認する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 移住支援金は世帯最大100万円、単身最大60万円。子の帯同に伴う加算等は移住先の制度で確認 |
| 対象 | 東京23区への在住・通勤歴、移住先、居住期間等の要件を満たす人 |
| 条件 | 対象企業への就業、起業、テレワーク等の要件。自治体ごとに確認 |
地方創生の公式案内にある「最大300万円」は、移住支援金と最大200万円の起業支援金を組み合わせた場合の数字です。移住だけで一律300万円を受け取れるわけではありません(2026年10月9日確認)。ただし、移住先の自治体が制度に参加していることが前提です。全国すべての自治体が対象ではないため、移住先の自治体に確認してください。
補助金申請の流れ
解体・改修補助には、交付決定前の契約や着工を対象外にする制度があります。次は事前申請型の一般的な流れです。工事後申請型もあるため、必ず利用する制度の手順を優先してください。
| 手順 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 事前相談 | 市区町村の窓口(空き家対策課、住宅課等)に相談 | 利用できる制度と条件を確認 |
| 2. 申請書類の準備 | 申請書、見積書、建物の状況写真、登記事項証明書等 | 自治体ごとに必要書類が異なる |
| 3. 申請 | 受付期間内に書類を提出 | 予算到達で早期終了あり |
| 4. 交付決定 | 自治体が審査し、交付決定通知を送付 | 交付決定前の着工は補助対象外 |
| 5. 工事実施 | 交付決定後に着工 | 工事内容の変更は事前に届出が必要 |
| 6. 完了報告 | 工事完了後に実績報告書と領収書を提出 | 期限内に提出しないと補助金が支給されない |
| 7. 補助金交付 | 実績報告の審査後に補助金が振り込まれる | 交付まで1〜3か月かかることがある |
工事着手から補助金の入金まで時間がかかるため、工事費用はいったん自己負担または融資でまかなう必要があります。資金計画に織り込んでおいてください。
補助金を使うときの注意点
事前申請が原則
事前申請型では、工事後に遡って申請することはできません。見積もり取得までは認められても、契約・発注・着工のどの段階から対象外になるかは制度により異なります。業者への見積もり依頼と並行して、自治体への事前相談を進めてください。
予算上限で早期終了
自治体の補助金は年度予算で運用されており、申請が集中すると年度の途中で受付が終了します。年度初め(4月〜5月)に募集が始まるケースが多いため、事前に募集スケジュールを確認しておくと申請が遅れにくくなります。
併用可否の確認
国の補助金と自治体の補助金は併用できる場合がありますが、同じ費用への重複補助だけでなく、他制度との併用そのものを認めない制度もあります。解体助成と改修助成の併用、国の制度と自治体制度の併用については、窓口で確認してください。
条件を満たさない場合の返還
定住要件付きの補助金を受けて空き家を取得した後、要件期間内に転居すると補助金の返還を求められることがあります。事情が変わる可能性がある場合は、返還規定をあらかじめ確認しておいてください。
自治体の補助金を調べる方法
空き家に関する補助金は自治体ごとに制度設計が異なるため、「自分の空き家がある自治体ではどの補助金が使えるか」を個別に調べる必要があります。
調べ方1: 自治体ホームページ
「[市区町村名] 空き家 補助金」で検索すると、多くの自治体で空き家対策のページが見つかります。住宅課、都市計画課、空き家対策室など担当部署は自治体によって異なります。
調べ方2: 地方公共団体における住宅リフォームに係る支援制度検索サイト
住宅リフォームに関する自治体支援制度を検索できるサイトで、都道府県・市区町村ごとのリフォーム支援制度を横断検索できます。空き家に限らず耐震・省エネ・バリアフリー改修の補助も一括で調べられます。
調べ方3: 空き家対策窓口への直接相談
ウェブ上の情報が更新されていないことがあるため、窓口に電話して「現在受付中の空き家補助金はあるか」「予算の残り状況」を確認するのが確実です。自治体によっては、ホームページに掲載していない小規模な助成があることもあります。
空き家の解体補助金の調べ方と申請手順は空き家解体補助金の調べ方と申請手順でさらに詳しく解説しています。
募集期間の末日だけで受付中と判断しない
年度のページが公開されたままでも、新規受付が終わっていることがあります。秋田市の老朽危険空き家解体撤去補助金は、2026年5月21日に予算上限による新規の認定申請終了を案内し、すでに認定された人の交付申請と扱いを分けています。ページ下部の申請期限だけを読まず、冒頭のお知らせも確認してください(2026年10月9日確認)。
窓口には建物所在地・所有関係・予定工事・契約予定日を伝え、「今からの新規相談が対象か」「現地調査や認定が先か」「交付決定まで契約を待つ必要があるか」を確かめます。予算残額だけを聞くより、自分の工事を進めてよい時点が分かります。申請前の写真も必要になるため、解体や内装撤去の前に必要な撮影箇所を聞いておくと、提出時の不足を防げます。
補助金を活かした空き家の出口戦略
補助金はあくまで費用の一部を補填する制度であり、空き家問題の「出口」を決めるのはオーナー自身です。解体するのか、改修して活用するのか、売却するのかという大きな方向性を先に考え、その手段として補助金を活用する流れが合理的です。
売却を検討している場合は空き家売却の方法と流れ、活用の事例は空き家活用の公表事例と10の用途、管理しながら出口を探す場合は空き家管理サービスの費用相場と選び方を参照してください。
よくある質問
空き家の解体補助金は誰でもらえますか。
対象は、空き家の所有者またはその相続人が一般的です。ただし、自治体によっては「特定空家に指定されていること」「老朽度判定の基準を満たすこと」「税金の滞納がないこと」など追加条件があります。自治体の空き家対策窓口に事前相談して、自分の空き家が対象になるか確認してください。
補助金は工事前に申請しないとだめですか。
事前申請型では、交付決定前の着工が対象外になることがあります。一方、工事後申請型もあるため、申請時点と着工条件を制度ごとに確認してください。業者に見積もりを取るのと並行して、自治体への事前相談を進めてください。
国の補助金と自治体の補助金は両方使えますか。
制度の組み合わせによっては併用可能です。自治体の補助でも国費を財源としていることがあり、国の事業との併用が認められない場合があります。工事項目を分ければ必ず併用できるわけではないため、申請前に窓口で併用の可否を確認してください。
空き家の補助金はいつ頃募集が始まりますか。
多くの自治体で年度初め(4月〜5月)に募集が始まります。ただし、前年度からの継続事業として通年受付している場合や、補正予算で年度途中に追加募集する場合もあります。年度が変わる前に自治体のホームページや窓口で翌年度の募集予定を確認しておくと準備がスムーズです。
契約前に利用できる制度を絞り込む
空き家に関する補助金は、解体、改修、取得のそれぞれのフェーズで利用できる制度があります。国の制度と自治体独自の制度を組み合わせることで、自己負担を相当額減らせるケースもあります。
重要なのは、制度ごとの申請順序を守ることです。事前申請型では着工後の申請が認められないため、業者への見積もり依頼と自治体への相談は並行して進めてください。予算上限で早期終了する制度も多いので、年度初めのスケジュール把握も欠かせません。