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空き家活用 /

空き家バンクと不動産屋の違い|手数料・物件数・サポートの比較と目的別使い分け

空き家を売りたい、あるいは安く手に入れたいと考えたとき、「空き家バンク」と「不動産屋」のどちらを使うべきか迷う人は少なくありません。

違いは運営主体・手数料・取り扱う物件の性質・手続きのサポート範囲と多岐にわたります。どちらが優れているという話ではなく、目的と物件の状況で使い分けるものです。

この記事では、空き家バンクと不動産屋の仕組みの違いを項目ごとに整理し、手数料の具体的なシミュレーションも交えながら、売主・買主それぞれの立場で適した選び方を解説します。

空き家バンクと不動産屋の基本的な違い

空き家バンクは、自治体が運営する空き家の登録・公開システムです。地域の空き家情報を集約し、移住希望者や利用希望者とつなぐことを目的にしています。

一方の不動産屋は、宅地建物取引業法に基づく免許を持つ民間事業者が、売買・賃貸の仲介を業として行うものです。

比較項目空き家バンク不動産屋
運営主体自治体(市区町村)民間の宅建業者
目的空き家の利活用促進・移住促進不動産取引の仲介・利益確保
仲介手数料直接取引なら不要。宅建業者が媒介する場合は発生価格帯で上限が変わる(800万円以下の空き家は最大33万円)
物件数地域限定で少数ポータルサイト経由で膨大
対象物件地方・郊外の戸建て中心、低価格帯・難物件も登録されやすい都市部から地方まで幅広い、市場性のある物件が中心
契約の安全性多くは情報提供までで、契約は当事者か宅建業者が進める重要事項説明・契約書作成・決済立会いまで専門家が対応
サポート範囲情報の掲載とマッチングまで査定・販売活動・ローン斡旋・登記段取りまで一括
売却スピード買主が現れるまで時間がかかりやすい販売戦略を立てて短期化を図りやすい
主な利用層移住者・二拠点居住・DIY志向一般的な住宅購入者・売却希望者

空き家バンクの役割は「情報の橋渡し」です。多くの空き家バンクは、契約交渉や登記手続きには関与しない運用になっています。

実際の取引では、空き家バンク経由で物件を見つけたあと、地元の不動産会社に仲介を依頼するか、売主と買主が直接交渉するかのいずれかになります。空き家バンクの登録手順や使い方は空き家バンクの登録と活用方法で整理しています。

手数料・物件数・サポート・安全性のどこを重視するかで向き不向きが分かれます。費用を抑えたいなら空き家バンク、安全性や手間の少なさを優先するなら不動産屋という関係を、次の図で整理しておきます。

空き家を売る・買う 手数料を抑えたい 難物件・移住が前提 安全・手間なく進めたい 市場価格で取引したい 空き家バンク中心 不動産屋中心

空き家バンクのメリットとデメリット

空き家バンクには、不動産屋にはない特徴があります。利用前にメリットとデメリットの両面を把握しておくと判断を誤りにくくなります。

空き家バンクのメリット

仲介手数料がかからない場合があるのは、空き家バンクの大きなメリットです。

これは売主と買主が不動産会社を介さず直接やり取りする運用のときに限られます。この場合、後述する仲介手数料(800万円以下の空き家なら最大33万円)が発生しません。

ただし自治体が不動産会社への仲介を勧めるケースも多く、その場合は通常どおり手数料がかかります。

自治体の補助制度と連動している場合もあります。空き家バンクを通じて取得すると、リフォーム補助金・引越し費用助成・定住奨励金などを受けられる自治体があります。

こうした補助は空き家バンク経由の取得を条件にしていることがあります。 不動産屋で同じ物件を買うと対象外になることがあるので、補助を使うつもりなら順番を間違えないでください。

不動産屋が扱わない物件に出会えることもあります。築50年超の古民家、山あいの農地付き住宅、再建築不可の物件などです。

こうした物件は手数料が低くトラブルのリスクが高いため、不動産会社が敬遠しがちでした。空き家バンクには登録されやすく、古民家を安く手に入れてDIYで改修したい人には選択肢が広がります。

空き家バンクのデメリット

物件数が限られている点は、空き家バンクの大きな弱点です。

全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を更新しています(出典: 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)。これだけの空き家がある一方で、空き家バンクに登録されているのはその一部です。

しかも自治体ごとに運営されているため、隣の市の物件は別の空き家バンクを見る必要があります。横断的に探すには手間がかかります。

契約手続きの専門サポートがない点も注意が必要です。不動産屋なら重要事項説明・契約書の作成・住宅ローンの斡旋・登記手続きの段取りまで対応しますが、空き家バンクにその機能はありません。

直接取引の場合、契約不適合責任の取り決め、境界確認、残置物処理、瑕疵の告知範囲を自分たちで整理することになります。不動産取引の経験がない人には負担が大きくなります。

物件の状態が把握しにくいこともあります。不動産屋の仲介物件は、ある程度の調査が済んだ状態で情報が出ます。

空き家バンクの登録物件は所有者が提供した情報をそのまま掲載していることが多く、建物の劣化・シロアリ被害・雨漏り・設備の故障といった情報が十分でないことがあります。

現地確認は入念に行い、気になる箇所はホームインスペクション(建物状況調査)を検討してください。

不動産屋のメリットとデメリット

不動産屋に依頼する場合のメリットとデメリットも整理します。

不動産屋のメリット

物件情報量の多さが最大の強みです。レインズ(不動産流通機構)に登録された売出し物件を横断検索でき、ポータルサイト経由でも多数の物件にアクセスできます。

価格帯・エリア・築年数・面積など条件を細かく絞り込めるため、希望に合う物件を効率よく探せます。

取引の専門サポートを受けられる点も大きな利点です。宅地建物取引士による重要事項説明は法的に義務付けられており、権利関係・法令上の制限・設備の状態が書面で説明されます。

住宅ローンの仲介、火災保険の手配、司法書士との連携、引渡し後のフォローまで一通り任せられるため、不動産取引に慣れていない人でも進めやすくなります。

売却相場の精度も高い傾向があります。不動産会社は地域の成約事例にアクセスできるため、適正な売出し価格を設定しやすく、販売戦略(値付け・広告・内覧対応)を立てて売れるまでの期間を短縮できます。

不動産屋のデメリット

仲介手数料がかかります。上限は価格帯で変わり、税込では200万円以下が5.5%、200万円超400万円以下が4.4%、400万円超が3.3%(+6.6万円)です。売主・買主の双方に発生します。さらに800万円以下の物件では、後述の特例により最大33万円まで受け取れます。

低価格帯の空き家は取り扱いを断られることもあります。仲介手数料が売上になるため、調査・書類作成・内覧対応のコストに見合わないと判断されるからです。

ただしこの点は2024年(令和6年)7月1日の制度改正で変わりつつあります。 800万円以下の空き家は上限33万円まで報酬を受け取れるようになり、業者が扱う採算が改善しました。以前に断られた物件でも、いま相談すると対応が変わっている可能性があります。

手数料はどれだけ変わるのか — 低価格帯だけルールが変わった

空き家バンクと不動産屋の差が最もはっきり出るのが仲介手数料です。ただし低価格帯の売買では、2024年(令和6年)7月1日から通常とは違う上限が使えるようになりました。 空き家の多くがこの価格帯に入ります。 ここを知らずに古い計算式で見積もると、実際の請求額と食い違います。

通常の上限と、空き家の特例

宅地建物取引業者が受け取れる報酬の額は、国土交通省の告示で決まっています。

通常は売買価格を200万円以下・200万円超400万円以下・400万円超に区分し、それぞれの割合を掛けて合計します。一般に「400万円超なら価格×3%+6万円」と言われるのがこの計算です。

これに対し、売買代金が800万円以下の宅地・建物は「低廉な空家等」として、通常の計算で出た金額を超えて報酬を受け取れます(告示第七)。名称に「空家」とありますが、対象は価格で決まり、実際に空き家かどうかは問われません。上限は30万円の1.1倍にあたる33万円で、2024年(令和6年)7月1日から適用されています。

なお告示では、売買代金は消費税等相当額を含まない額で判定し、報酬額のほうは消費税等相当額を含む額で見ます。上の表もこの前提です。

物件価格通常の計算による上限(税込)低廉な空家等の特例の上限(税込)
200万円11.0万円33万円22.0万円
300万円15.4万円33万円17.6万円
500万円23.1万円33万円9.9万円
800万円33.0万円33万円0円

価格が低い物件ほど、通常計算との差が大きくなります。 200万円の空き家なら、従来の11万円に対して33万円まで請求できる計算です。

800万円以下の物件は、上限33万円まで請求できる 価格が低いほど、通常の計算との差が大きくなる 通常の計算 特例の上限まで上乗せできる分 200万円 33万円 300万円 33万円 500万円 33万円 800万円 33万円 上限であって、必ずこの額になるわけではない 媒介契約の締結前に、報酬額の説明と合意が必要 出典 国土交通省告示「宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額」

この特例は、手間のわりに手数料が少ない空き家の取引に不動産業者が関わりやすくするために設けられました。業者にとって空き家を扱う採算が改善する一方、売主・買主から見れば負担が増える方向の改正です。

ただしこれは上限であって、必ずこの額になるわけではありません。 特例を使う場合、宅地建物取引業者は媒介契約を結ぶ前に報酬額を説明し、依頼者と合意する必要があります(国土交通省の解釈・運用の考え方)。見積もりの段階で「特例を使うのか、通常の計算か」を確認してください。

(出典: 国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラム」

空き家バンクなら手数料はかからないのか

空き家バンクでも、自治体が提携する宅地建物取引業者が仲介に入る運用であれば、通常どおり仲介手数料がかかります。特例の対象にもなります。

手数料が発生しないのは、当事者同士が直接契約する運用の場合です。ただし自治体によって仕組みが違うため、登録前に「仲介業者が入るのか、当事者間で契約するのか」を確認してください。

手数料の安さだけで判断するのは早計です。不動産屋に支払う手数料には、重要事項説明・契約書作成・決済立会いといった取引の安全を担保する業務の対価が含まれています。

直接取引で手数料を節約した結果、引渡し後に契約不適合責任や境界をめぐるトラブルが起き、手数料以上の負担を抱えることもあります。節約できる金額と、自分で負うリスクを並べて判断してください。

売却時の使い分け — 売主の立場

空き家を手放したい売主が、空き家バンクと不動産屋のどちらを使うかは、物件の価格帯と立地で判断するのが合理的です。

物件の状況おすすめの方法理由
都市部・駅近・築浅不動産屋市場価格で売れる見込みが高い
地方都市・相場500万〜1500万円不動産屋 + 空き家バンク併用露出を増やし買主を広く探す
田舎・過疎地・100万円以下空き家バンク中心不動産屋が扱いにくい価格帯
古民家・農地付き・再建築不可空き家バンク移住・DIY層にリーチしやすい

空き家バンクと不動産屋は排他的な関係ではありません。空き家バンクに登録しつつ、地元の不動産会社にも媒介契約を結んで両方のチャネルで買主を探す方法が現実的です。一般媒介契約を選べば、複数の不動産会社と空き家バンクを併用できます。

売却と活用のどちらが有利かを比較検討したい場合は、空き家の売却と活用の比較で判断基準を整理しています。

購入時の使い分け — 買主の立場

空き家を購入する側にとっても、目的に応じて窓口を変えるのが効率的です。

通常の中古住宅購入なら、不動産屋を使うほうが安全です。住宅ローン審査のサポート、物件の法的調査、契約書類の作成を任せられるため、取引のリスクが下がります。

住宅ローンを使うなら特にそうです。 金融機関は重要事項説明書の提出を求めることが多く、直接取引ではローン審査に通りにくいことがあります。

地方移住やDIY改修を前提とした購入なら、空き家バンクを積極的に使ってください。自治体の移住支援策と連動した補助を受けられることがあり、購入コストを下げられます。

ただし建物の状態は自分で判断することになります。購入前にホームインスペクションを実施し、改修費用の概算を把握してから契約してください。

空き家の買取業者に直接売却する方法もあります。仲介手数料なし、残置物あり、境界未確定でも対応可能な業者があり、「とにかく早く手放したい」場合に適しています。買取の流れは空き家買取の仕組みと注意点で詳しく解説しています。

空き家バンクと不動産屋を併用するときの注意点

両方を使う場合にトラブルになりやすいポイントを整理します。

仲介契約の種類に注意してください。専属専任媒介契約や専任媒介契約を不動産会社と結んでいると、空き家バンク経由で見つかった買主とも、その不動産会社を介さなければなりません。空き家バンクとの併用を想定するなら、一般媒介契約を選択する必要があります。

売出し価格の整合性も重要です。空き家バンクに登録した価格と、不動産ポータルサイトに掲載した価格が異なっていると、買主に不信感を与えます。空き家バンク特有の値下げ対応をする場合は、不動産会社にも事前に伝えてください。

直接取引のリスクを過小評価しないことも大切です。空き家バンクで買主が見つかり、仲介手数料を節約するために直接取引をしたものの、引渡し後に雨漏り、境界トラブル、残置物処分で揉めるケースは少なくありません。取引金額が大きい場合は、仲介手数料を払ってでも不動産会社に契約手続きを依頼するほうが安全です。

空き家を手放す前に確認したいこと

空き家バンクと不動産屋のどちらを使うにしても、売却前に整理しておくべき事項があります。

登記名義が現在の所有者になっているかを確認してください。相続した空き家は、亡くなった親の名義のままになっていることが多く、名義変更が完了するまで売却手続きは進められません。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が求められ、正当な理由なく怠ると過料の対象になりえます

特定空家・管理不全空家に指定されると不利になる点も押さえておきましょう。空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、倒壊の恐れがある特定空家や、放置すれば特定空家になりかねない管理不全空家に指定され、自治体の勧告を受けると、住宅用地の固定資産税の軽減特例が解除され税負担が増える場合があります。空き家を持て余して放置するほど不利になるため、売却・活用の判断は早めに進めるのが得策です。詳しくは特定空家に指定されるリスクで整理しています。

建物の不具合は隠さず共有してください。雨漏り、シロアリ、傾き、設備の故障は売買後のトラブルの主因です。告知義務がある不具合を隠して売却し、後から発覚した場合は契約不適合責任を問われます。空き家バンクでの直接取引であっても、この責任は免除されません。

空き家の管理が難しい状態が続いているなら、管理サービスの利用も選択肢になります。売却先が決まるまでの間、近隣トラブルや資産価値の低下を防ぐ方法は空き家管理サービスの選び方で解説しています。

判断に迷ったら複数の選択肢を並べて比較する

空き家バンクと不動産屋のどちらか一方に絞る必要はありません。売却したい空き家の価格帯、立地、状態、所有者の時間的制約によって、最適なルートは異なります。空き家バンク登録と不動産会社への査定依頼を同時に進め、それぞれの条件を比較してから判断するのが、結果的に早く、納得感のある取引につながります。

空き家の売却方法そのものを比較したい場合は、空き家売却の方法と流れで仲介・買取・更地売却の違いを整理しています。

空き家は売却方法によって手残りが大きく変わります。空き家解決の無料相談サービスで複数の専門業者から提案を受けると、売却・買取・活用の比較がしやすくなります。

よくある質問

空き家バンクを利用すると仲介手数料は無料になりますか。

空き家バンクの多くは情報提供とマッチングまでを担い、契約は当事者または宅地建物取引業者が進める運用です。売主と買主が直接取引する場合、仲介手数料は不要です。ただし自治体が地元の不動産会社への仲介を勧めるケースや、手続きの安全のために不動産会社を使う場合は通常どおり発生します。なお2024年(令和6年)7月1日以降、売買代金800万円以下の空き家は最大33万円(税込)まで報酬を受け取れる特例があります。

空き家バンクに登録してもなかなか買主が見つかりません。どうすればよいですか。

空き家バンクだけでは閲覧者が限られるため、地元の不動産会社にも一般媒介契約で売出し依頼をして露出を増やすのが効果的です。登録情報に写真が少ない、価格が相場から外れている、残置物が多く内覧しにくいといった要因があれば、先にそれを改善すると反応が変わりやすいです。

空き家バンクの物件を購入するとき、住宅ローンは使えますか。

住宅ローンの利用は可能ですが、金融機関によっては空き家バンク経由の直接取引に対して審査が厳しくなることがあります。多くの金融機関は不動産会社が作成した重要事項説明書を審査書類として求めるため、空き家バンク物件でも不動産会社を仲介に入れるか、買主自身で必要書類を準備する必要があります。築古物件は担保評価が低く、借入額が制限されることもあるため、事前審査を早めに進めてください。

空き家バンクと不動産屋を同時に使うことはできますか。

同時に利用できます。不動産会社と一般媒介契約を結んでいれば、空き家バンクへの登録に制限はありません。専属専任媒介や専任媒介契約を結んでいる場合は、空き家バンク経由の買主との取引でも不動産会社を通す必要があるため、契約内容を確認してください。

不動産屋に払う仲介手数料はいくらくらいになりますか。

上限は宅地建物取引業法46条に基づく国土交通省の告示で決まっています。税込の料率は200万円以下が5.5%、200万円超400万円以下が4.4%、400万円超が3.3%(+6.6万円)です。

ただし売買代金800万円以下の物件には「低廉な空家等」の特例があり、2024年(令和6年)7月1日から最大33万円(税込)まで受け取れます。500万円の物件なら通常計算で23.1万円、特例なら33万円が上限です。

この手数料は売主と買主の双方に発生します。空き家バンクで直接取引する場合は抑えられますが、重要事項説明や契約書作成といった取引の安全を守る業務も自分たちで対応することになります。

空き家を放置していると税金が高くなると聞きました。本当ですか。

空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、倒壊などの危険がある特定空家や、放置すれば特定空家になりかねない管理不全空家に指定され、自治体の勧告を受けると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減特例が解除されることがあります。その場合は固定資産税の負担が増えるため、空き家を持て余している場合は早めに売却や活用、適切な管理を検討するのが安全です。

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