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住宅ローン

住宅ローンは固定と変動どっちが得? — 2026年の金利動向から判断基準を解説

住宅ローンの固定と変動、どっちが得なのか。住宅購入を検討する多くの人がこの問いにぶつかります。2024年3月のマイナス金利解除以降、日銀は段階的に政策金利を引き上げており、2026年4月時点では0.75%に到達しています。「変動金利はまだ低いから大丈夫」という前提は崩れつつあり、固定と変動の選択は以前よりも慎重な判断が必要になっています。この記事では、4,000万円・35年の借入を前提に、金利差による分岐点のシミュレーション、ライフプラン別の判断フロー、2026年の金利環境を踏まえた実践的な考え方を解説します。住宅ローンの基本的な仕組みは住宅ローンの基礎知識で体系的にまとめています。

固定金利と変動金利の基本的な違い

固定と変動の比較に入る前に、両者の仕組みの違いを整理しておきます。

変動金利は短期プライムレート(短プラ)に連動し、半年ごとに金利が見直されます。金利水準は固定より低く設定されていますが、将来の金利上昇リスクを借り手が負います。多くの銀行では「5年ルール」(5年間は返済額を据え置き)と「125%ルール」(返済額の増加を前回の125%に制限)が適用されますが、一部のネット銀行では適用外のため、金利上昇がすぐに返済額に反映されます。5年ルールの詳しい仕組みは変動金利の5年ルール解説記事で整理しています。

固定金利は長期金利(10年国債利回り)に連動します。全期間固定型なら借入から完済まで金利が変わらず、10年固定型なら当初10年間は金利が一定です。金利水準は変動より高くなりますが、金利変動リスクは金融機関側が負うため、借り手の返済額は確定しています。

ここで重要なのは、固定金利と変動金利は「参照する金利」が違うという点です。変動金利は短期金利、固定金利は長期金利に連動します。長期金利のほうが市場の将来予測を先取りして動くため、日銀の利上げが見込まれる局面では固定金利のほうが先に上がり始めます。「変動金利が上がってから固定に切り替えればいい」という判断は、実際にはタイミングが遅れることが多い構造です。

2026年4月時点の金利水準

金利タイプ金利水準
変動金利(ネット銀行)0.60%〜0.90%
変動金利(メガバンク)0.75%〜1.10%
10年固定1.10%〜1.30%
全期間固定(35年)1.70%〜1.90%
フラット351.80%〜1.95%

変動金利と全期間固定の差は約0.8%〜1.2%です。この差が「固定と変動のどっちが得か」を左右する分岐点に直結します。

4,000万円・35年の総返済額シミュレーション

固定と変動のどちらが得かは、「変動金利が今後どれだけ上昇するか」に依存します。以下のシミュレーションで、金利上昇幅ごとの損得を比較します。

シナリオ別の総返済額比較(編集部試算)

シナリオ変動金利の推移変動の総返済額固定の総返済額差額
金利据え置き35年間 0.65%(仮定)約4,469万円約5,378万円固定が約909万円多い
緩やかな上昇5年目に1.0%、10年目に1.5%で安定(仮定)約4,878万円約5,378万円固定が約500万円多い
正常化5年目に1.5%、10年目に2.0%で安定(仮定)約5,336万円約5,378万円ほぼ同額
急上昇5年目に2.0%、10年目に2.5%で安定(仮定)約5,817万円約5,378万円変動が約439万円多い

このシミュレーション(編集部試算)から見えるのは、変動金利が10年目までに2.0%程度まで上昇すると、固定金利のほうが有利になるという分岐点です。現在の政策金利0.75%を前提にすると、変動金利が2.0%に達するのは政策金利が1.5%〜2.0%程度まで引き上げられた場合に相当します。

日銀が年1〜2回のペースで0.25%ずつ利上げを続ければ、2028年頃に政策金利が1.5%に到達する可能性があります。その場合、変動金利の適用金利は1.5%前後になり、総返済額は固定金利とほぼ同水準です。

つまり「どちらが得か」は「日銀の利上げがどこで止まるか」という金融政策の見通しにかかっています。確実な答えはありません。2026年以降の変動金利の見通しは変動金利の今後を解説した記事で3つのシナリオ別に整理しています。

「損得」ではなく「リスク管理」で考える

固定と変動のどっちが得かを「総返済額の多い少ない」だけで判断するのは、家計管理の観点では不十分です。住宅ローンは35年間の長期契約であり、その間に起こりうるリスクとの兼ね合いで金利タイプを選ぶのが合理的な判断方法です。

変動金利のリスクは「金利上昇による返済額の増加」です。金利が上がった場合に繰上返済や借り換えで対応できる余力(貯蓄・収入・家計の柔軟性)があれば、変動金利を選んでリスクをコントロールすることは可能です。

固定金利のリスクは「金利が上がらなかった場合に余分なコストを払い続ける」ことです。変動金利との差額分を35年間払い続けた結果、金利が大して上がらなければ、その差額は保険料として消えたこになります。ただし、「保険料」として考えれば、家計の安定のために払う価値があるかどうかは個人の判断です。

ここでの判断軸は「金利上昇に耐えられるか」ではなく「金利上昇に対応する余力があるか」です。余力がある人は変動でリスクを取れますし、余力がない人は固定で確定させたほうが安全です。

ライフプラン別の判断フロー

安定収入の会社員(単身or共働き、子ども1〜2人想定)

世帯年収が安定しており、毎年の昇給が見込める場合は変動金利で金利差の恩恵を受けつつ、差額を貯蓄に回す戦略が取りやすいパターンです。ただし、子どもの教育費がピークになる時期(高校〜大学の7〜10年間)と金利上昇が重なると家計が厳しくなります。

教育費のピーク時期と住宅ローン返済期間が重なる場合は、教育費を確保したうえで金利上昇にも耐えられるかをシミュレーションしてください。余裕がなければ10年固定で教育費のピークを乗り越え、固定期間終了後に残高を圧縮する方法も選択肢になります。

共働きで繰上返済の余力が大きい世帯

世帯年収が高く、年間100万円以上の繰上返済が可能な場合は、変動金利で低金利の恩恵を受けながら元本を速やかに圧縮する戦略が有効です。元本が減れば金利上昇時のインパクトも小さくなるため、リスクを時間とともに減らせます。

ただし、共働き前提の返済計画には「片方の収入が途絶えるリスク」が内在しています。出産・育児休業・介護・転職・病気など、一時的にでも片方の収入がなくなった場合に返済が継続できるかどうかは確認しておくべき点です。

転職予定がある人

直近2〜3年で転職を検討している場合、転職直後は住宅ローンの審査が通りにくくなります。借り換えという選択肢が使えなくなる可能性があるため、「変動で借りておいて金利が上がったら借り換え」という戦略が成立しにくいことに注意してください。

転職前に固定金利で借りておくか、転職後の収入が安定してから住宅を購入するか、タイミングの判断が重要になります。

定年が近い人(50代後半以降)

返済期間が20年以下で借りる場合、変動金利と固定金利の差額は35年ローンほど大きくなりません。20年固定であれば金利もフラット35Sの適用条件次第で抑えられるため、固定金利で確定させるメリットが相対的に大きくなります。

退職金で繰上返済を予定している場合は変動で短期勝負するのも合理的ですが、退職金の金額が確定していない段階での過度な依存は危険です。

ミックスローンという選択肢

固定と変動の「どっちか」を選べない場合、借入額を2つに分けてミックスローンを組む方法もあります。借入額の一部を固定、残りを変動にすることで、金利上昇リスクを抑えつつ、変動の低金利メリットも一部享受できます。

ミックスローンの注意点は、2本のローンを並行管理する手間が増えることと、借り換え時に片方だけ借り換えるのが難しい場合があることです。

2026年の金利環境をどう読むか(編集部整理)

「固定と変動どっちが得か」の答えは金利の先行きに依存するため、2026年時点の金利環境(編集部整理)を確認しておきます。

日銀はマイナス金利解除以降、段階的に政策金利を引き上げています。植田総裁は「経済・物価見通しが実現していくならば、引き続き政策金利を引き上げる」と発言しており、利上げ路線は継続中です。

変動金利の適用金利がまだ低い水準にとどまっている背景には、金融機関の優遇幅拡大競争があります。基準金利は上がっていますが、顧客獲得のために引き下げ幅を拡大することで適用金利の上昇を抑えています。この競争がいつまで続くかは不透明で、利ざやが限界に達すれば適用金利は本格的に上昇します。

一方、固定金利はすでに長期金利の上昇を織り込む形で上がっています。2023年末と比べると全期間固定の金利は0.5%〜0.7%程度上昇しており、「固定に切り替えたいが、もう上がってしまった」と感じる人も少なくありません。

こうした環境下で言えることは、変動金利と固定金利の差が縮まりつつあるということです。差が縮まるほど、固定金利を選んで金利リスクを排除する「保険料」は安くなります。金利差が0.8%を切るような局面では、固定金利の選択価値は過去10年間のどの時点よりも高まっています。

金利上昇局面で変動金利を選んだ場合の具体的な対策は金利上昇対策5つのポイントで解説しています。

よくある質問

Q. 変動金利と固定金利の差がいくらなら固定を選ぶべきですか

明確な基準はありませんが、差が1.0%以内であれば固定を検討する価値が十分にあるというのが一般的な目安です。4,000万円・35年の場合、金利差1.0%は月々約2万円、年間約24万円の差です(編集部試算)。この差額を「金利上昇リスクに対する保険料」として許容できるかどうかが判断基準になります。変動金利が将来1.0%以上上昇すれば、固定を選んだほうが得になります。

Q. 変動金利で借りておいて、金利が上がったら固定に借り換えるのはありですか

理論上は可能ですが、実行が難しいケースが多いです。固定金利は変動金利より先に上がる傾向があるため、「変動金利が上がった」と感じた時点では固定金利はさらに上がっている可能性が高いです。借り換え時の事務手数料(借入額の2.2%程度)も発生するため、タイミングを見極める難しさとコストの両面でハードルがあります。

Q. 住宅ローン控除との関係で金利タイプを選ぶべきですか

住宅ローン控除は年末ローン残高の0.7%が最大13年間控除されます。変動金利が0.7%を下回っていれば、実質的に金利負担がマイナス(借りているだけで得する)状態です。ただし、この状態は変動金利が0.7%を超えた時点で解消されます。住宅ローン控除の適用期間(最大13年)の間に金利が上昇する可能性を踏まえると、控除率と金利の逆転が起きやすい局面では控除を理由に変動を選ぶメリットは薄れています。

Q. フラット35と銀行の全期間固定型、どちらが有利ですか

フラット35は省エネ住宅でフラット35Sの金利引き下げが使える場合に有利です。ZEH水準の住宅なら当初5年間0.5%引き下げが適用され、実質金利は1.3%台まで下がります。一方、銀行の全期間固定型は団信の保障が手厚い傾向があり、がん保障や全疾病保障を金利上乗せなしで付帯できる銀行もあります。「省エネ住宅ならフラット35、団信重視なら銀行固定」が基本的な使い分けです。

金利タイプを決める前にやるべきこと

固定と変動の「どっちが得か」に正解はありません。将来の金利を正確に予測できる人はいないためです。重要なのは、どちらを選んでも後悔しないだけの準備をすることです。

まず、複数のハウスメーカー・工務店から間取りプランと資金計画書を取り寄せて、建築費の総額と借入額を確定させてください。借入額が決まらなければ、金利タイプごとの返済シミュレーションは机上の空論になります。

タウンライフ家づくりでは、複数のハウスメーカーから間取りプラン・資金計画書・土地提案を無料で一括請求できます。住宅ローンの金利タイプを決める前に、借入額と返済計画の土台を固めることが判断の出発点になります。

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