執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
目隠しフェンスの高さの決め方|隠れる範囲は距離で変わる・法律と隣家で決まる上限
隣の家の窓とこちらの庭が向き合っている。道路を歩く人からリビングの中が見えてしまう。そう気づいてフェンスを入れることまでは決まったのに、高さの欄で手が止まる、という段階があります。
カタログには「1.8mで立った人の視線が隠れます」と書いてあります。ただ、その1.8mが自分の敷地でも成り立つのかは、そこからは分かりません。隠れるかどうかは、フェンスの高さだけで決まらないからです。
この記事では、視線がどこまで隠れるかを見る人の位置との関係で整理したうえで、高さの上限を決めている法律と隣家との関係、それに風の影響までをまとめます。素材ごとの単価や工事費は外構フェンスの費用にあるので、金額はそちらを見てください。
隠れる範囲は、フェンスの高さだけでは決まらない
同じ高さのフェンスでも、見る人がどこに立っているかで隠れ方が変わります。
見る人の目の高さより高いフェンスがあると、その人の視線はフェンスの上端をかすめて斜め上に抜けていきます。フェンスに近い場所に立っているほどこの傾きは急になり、こちら側の高い位置まで隠れます。離れるほど傾きはゆるくなります。
計算そのものは単純です。見る人の目の高さをE、フェンスの高さをH、見る人からフェンスまでの距離をD、フェンスからこちら側の対象までの距離をdとすると、隠れる高さの上限は「E+(H−E)×(D+d)÷D」で出ます。
Dを大きくしていくと、この値はHに近づきます。つまり遠くから見られる場合に隠れるのは、フェンスの高さまでです。設計するときは、この一番条件の厳しい状態を基準にしておくと安全側に倒れます。
ただし、この「近いほどよく隠れる」が成り立つのは、フェンスが見る人の目線より高いときだけです。目線より低いフェンスでは逆になり、近づかれるほど上から見下ろされて見えてしまいます。目線1.6mの人が1.2mのフェンスのすぐ手前に立つと、こちら側は隠れません。低いフェンスを「距離が近いから足りる」と考えないでください。
隣家の2階からの視線は、境界のフェンスでは隠せない
高さで悩む理由の多くは、隣家の窓との関係です。ここで注意が要るのは、相手の窓が2階にある場合です。
2階の床は地面から2.8mほどの高さにあります。そこに立つ人の目線は、地面から4.4mあたりになります。この位置から見下ろす視線に対して、高さ1.8mの境界フェンスがどれだけ働くかを、さきほどの式で計算してみます。
隣家の窓が境界から3m、こちらが境界から2m内側にいるとすると、1.8mのフェンスで隠れるのは地面からわずか7cmまでです。3m内側まで入ると、隠れる部分はなくなります。ここに立つ人を頭(約1.7m)まで隠そうとすると、計算上はフェンスの高さが2.8m近く必要になります。ブロックを積んで作るなら後述の高さ制限を超えますし、フェンスで作るとしても、この高さを支える基礎と支柱は住宅の外構では現実的ではありません。
2階からの視線は、境界のフェンスでは解決しません。 対処するなら家の側です。窓の位置をずらす、型板ガラスにする、内側にシェードやスクリーンを入れる、テラス屋根やパーゴラで上を覆う、樹高のある植栽を窓の正面に置く。庭でくつろぐ時間帯が決まっているなら、その時間だけ立てられる可動式のスクリーンでも足ります。
見積もりを取る前に、隠したい相手の窓が1階か2階かを確認しておいてください。ここを取り違えると、高いフェンスを入れたのに見えたままだった、ということになります。
高さ別に、何がどこまで隠れるか
前の節の前提(十分に離れた位置から見られる、地面の高さは同じ)で整理すると、次のようになります。
| 高さ | 隠れるもの | 向いている場所 |
|---|---|---|
| 1.0〜1.2m | 座ったときの視線、庭仕事の手元、犬や子どもの動き | 境界の仕切り、道路側で圧迫感を出したくないところ |
| 1.5m | 立った人の胸から下。顔と視線は合う | 境界の仕切りと軽い目隠しを兼ねたいところ |
| 1.8m | 立った人がほぼ隠れる | 浴室や洗面の窓の前、リビングの掃き出し窓の前 |
| 2.0m | 立った人が完全に隠れる | 隣家の1階の窓と正面で向き合っているところ |
高さの目安は本文の計算をもとに編集部が整理したものです。敷地の高低差がある場合は、その差を足し引きして考えてください。
高低差は見落としやすい要素です。ブロックを積んで土留めを兼ねている場合は、地面の高さがどこを指しているのかを図面で確認してください。こちらが隣地より高ければ低いフェンスでも足りますが、こちらの地面が隣地より50cm低ければ、1.8mのフェンスは隣地から見て1.3mぶんの働きしかしません。
どこを隠すのかで、必要な高さは変わる
敷地をぐるりと同じ高さで囲うと、費用がかさむわりに住みにくくなります。隠したい場所を先に決めて、そこだけ高くするほうが結果は良くなります。
道路側でよく使われる1.2m前後は、視線を隠す高さではありません。歩く人の目線より低いので、こちら側は見えます。これは敷地を仕切りながら見通しを残すための高さで、完全に塞ぐと外から敷地の中が見えなくなり、人が入り込んでも気づかれにくくなるという事情があります。道路側は仕切りと割り切って、家の中が見えることが気になるならカーテンや窓の側で対処する組み合わせも検討してください。道路側も隠したいなら、高さは1.8m前後が必要になります。
隣地との境界は、相手の窓と正面で向き合っているかどうかで判断が変わります。向き合っているなら1.8m以上、視線が斜めに抜けるだけなら1.5mでも足ります。
浴室や洗面の窓の前は、夜間に室内の明かりで人影が映ることを考える必要があります。窓の高さを図面で拾ってから決めてください。この場所だけは、窓の上端より高くするのが基本です。
リビングの掃き出し窓の前とウッドデッキまわりは、座ったときと立ったときで必要な高さが違います。デッキの上に立つと床の高さぶんだけ目線が上がるので、デッキの床面からの高さで考えないと足りなくなります。 ウッドデッキを検討中ならウッドデッキの費用もあわせて見ておくと、床の高さを含めて計画できます。
完全に塞ぐか、隙間を残すか
同じ高さでも、板の組み方で見え方と住み心地が変わります。
隙間なく板を張ると視線は完全に止まりますが、光と風も止まります。庭に面した側を全部この型にすると、日中でも暗く、夏に風が抜けない庭になります。
ルーバーは板を斜めに重ねる型です。正面からの視線は遮り、上下から光と風は通ります。価格は上がりますが、南側や庭に面した長い区間ではこちらのほうが住み心地が保てます。
スリットは板の間に隙間を空けたもので、開放感は残りますが、斜めの角度からは中が見えます。境界の仕切りとして使い、目隠しは別の場所で確保する組み合わせに向きます。
法律で決まっている上限
高さの上限には、法律で決まっている部分があります。ここは対象が限られているので、正確に押さえておくと業者との話が早くなります。
建築基準法施行令の第62条の8は、補強コンクリートブロック造の塀についての基準です。ブロックを積んだ塀そのものに対する規定で、次の内容が定められています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 高さ | 2.2m以下 |
| 壁の厚さ | 15cm以上(高さ2m以下の塀は10cm以上) |
| 鉄筋(配置) | 壁頂と基礎に横、壁の端部と隅角部に縦。径9mm以上 |
| 鉄筋(間隔) | 壁内に径9mm以上を縦横80cm以下の間隔で配置 |
| 控壁 | 長さ3.4m以下ごとに、径9mm以上の鉄筋を配置した控壁を設ける。基礎部分で壁面から高さの5分の1以上突出させる |
| 鉄筋の末端 | かぎ状に折り曲げ、縦筋は壁頂と基礎の横筋に、横筋はその縦筋にかぎ掛けして定着させる(縦筋を径の40倍以上基礎に定着させる場合は、基礎の横筋へのかぎ掛けを省ける) |
| 基礎 | 丈35cm以上、根入れの深さ30cm以上 |
出典: 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第62条の8。e-Gov法令検索で条文を確認できます(2026年8月時点)。
高さが1.2m以下の塀では、このうち控壁と基礎の規定は適用されません。また国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で構造耐力上安全だと確かめられた場合は、この条の基準によらないことができます。
注意したいのは、この2.2mがブロックを積んだ塀に対する数字だという点です。低いブロックの上にアルミのフェンスを載せる工法はよく使われますが、その場合もブロックの部分がこの基準を満たしている必要があります。フェンスを何段目まで載せられるかは製品ごとにメーカーが定めていて、これは法律とは別の、その製品の構造上の制限です。既存のブロック塀に後から載せるなら、ブロックの厚さ・鉄筋・控壁・基礎が基準を満たしているかを先に見てもらってください。
古いブロック塀は、この基準ができる前に積まれたものが残っています。塀の点検は自治体が窓口を設けていることが多く、除却や改修に助成を出しているところもあります。ブロック塀そのものの費用と構造はブロック塀の費用にまとめてあります。
隣家との関係で決まること
もうひとつ、民法に目隠しそのものを扱った条文があります。あまり知られていませんが、境界のすぐ近くに窓がある家では直接効いてきます。
民法235条は、境界線から1m未満の距離に、他人の宅地を見通すことのできる窓や縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならないと定めています。距離は、窓や縁側の最も隣地に近い点から垂直線で境界線まで測って出します。
つまり隣家の窓が境界から1m未満にあってこちらの敷地を見通せるなら、目隠しを付けるよう求められるのは窓を設けた側です。こちらが高いフェンスを立てて対処する前に、まず相手と話す余地があります。逆にこちらの窓が境界から1m未満なら、こちらに義務があります。
この目隠しの規定については、民法236条に、異なる慣習があるときはその慣習に従うという定めがあります(同条が指す「前二条」は234条と235条です)。
境界の塀を隣家と一緒に作る道もあります。民法225条は、所有者の違う2棟の建物の間に空地があるとき、各所有者は共同の費用で境界に囲障を設けることができると定めています。協議が調わないときの囲障は、板塀か竹垣その他これらに類する材料で高さ2mのものとされ、費用は相隣者が等しい割合で負担します(226条)。相隣者の一人がこれより良い材料を使う、あるいは高さを増すこともでき、その場合の費用の増加額はその人が負担します(227条)。囲障についても慣習が優先される定めがあり、こちらは228条です。
出典: 民法(明治29年法律第89号)第225条・第226条・第227条・第228条・第235条・第236条。e-Gov法令検索で条文を確認できます(2026年8月時点)。
慣習が優先されるということは、地域の実情で扱いが変わりうるということです。実際に隣家との間で調整が必要になった場合は、条文だけで押し切らず、自治体の相談窓口や専門家に確認してください。
工事そのものについても、境界に近い作業は隣家の生活に影響します。塀やフェンスの位置は後から言われても直せないので、着工前に内容を伝えておいてください。高いフェンスは隣家の庭に日陰を作ることもあります。日当たりへの影響が出そうな向きなら、事前にひと言あるかどうかで、その後の関係が変わります。
高くするほど、風の影響が大きくなる
目隠しフェンスは、隙間のない面で風を受け止めます。同じ支柱でも、風を通すメッシュのフェンスと比べて負担が大きくなります。
高さを上げると受ける面積が増え、支柱の根元にかかる力はさらに大きくなります。カタログに耐風圧の目安が書かれているのはこのためで、地域や設置条件によって選ぶべき製品が変わります。
実務上は、高さを上げるほど支柱を太く、間隔を狭く、基礎を大きくする必要が出ます。ブロックの上に載せるときは、ブロック側が力を受けきれるかが先に問題になります。 古い塀の上に背の高い目隠しを載せるのは、この点で無理があることが多い組み合わせです。
同じ製品でも、基礎の作り方で金額と持ちが変わります。見積もりを比べるときは、フェンス本体の価格だけでなく、支柱の間隔と基礎の仕様が書かれているかを見てください。
後から付けるとき
すでに住んでいる家に足す場合、選択肢は2つあります。
既存のブロック塀の上に載せる方法は、工事は軽くなりますが、前述のとおりブロック側の状態に左右されます。厚さ・鉄筋・控壁・基礎が今の基準を満たしていない古い塀では、載せられないか、載せられても低い製品に限られます。
もうひとつは、フェンス用の基礎を独立して作る方法です。既存の塀とは別に穴を掘ってコンクリートで支柱を固めるので、塀の状態に左右されません。掘削とコンクリートのぶん工事は大きくなりますが、必要な高さを確保しやすくなります。
置くだけの自立型もあります。工事は要りませんが、風で倒れないよう重量やアンカーで支える仕組みが必要で、常設の目隠しとしては強度に限りがあります。特定の時期や場所だけ隠したい場合に向く選択肢です。
いずれの方法でも、隠したい相手と高さを先に決めておくと、業者との話が具体的になります。工事のタイミングは外構工事のタイミング、全体の進め方は外構工事とはにまとめてあります。
費用の目安
素材別の単価、高さ別の費用差、設置延長ごとの合計は外構フェンスの費用に一覧でまとめてあります。見え方やデザインから選びたい場合はおしゃれな外構フェンスの選び方を見てください。
高さを決めるときに金額の面で覚えておきたいのは、高くすると本体が上がるだけでは済まないという点です。支柱が太くなり、間隔が狭くなり、基礎が大きくなります。必要な区間だけ高くして、それ以外を低く抑える設計にすると、同じ予算で満足度が上がります。
よくある質問
目隠しフェンスの高さは何mが標準ですか?
立った人の視線を隠すことを基準にすると1.8m前後が目安になります。ただしこれは「離れた位置から見られる」「地面の高さが同じ」という条件での話です。敷地に高低差があれば差の分だけ調整が要りますし、隠したいのが庭でくつろぐ時間であれば1.2mでも足ります。まず何をどこから隠したいのかを決めてから高さを選んでください。
ブロック塀の上に目隠しフェンスを載せる場合、高さの制限はどうなりますか?
建築基準法施行令62条の8が定める高さ2.2m以下という基準は、補強コンクリートブロック造の塀に対するものです。ブロックの部分がこの基準(厚さ・鉄筋・控壁・基礎を含む)を満たしていることが前提になります。そのうえで、フェンスを何段目のブロックまで載せられるかは製品ごとにメーカーが構造上の制限を定めているので、施工前に確認してください。古い塀に載せる場合は、塀そのものの状態を見てもらうところから始めます。
隣家の2階から庭が見えます。フェンスを高くすれば解決しますか?
境界のフェンスでは解決しません。2階の目線は地面から4.4mほどの高さにあり、そこからの視線は境界のフェンスの上を越えて庭に届きます。境界から3mの窓に対して2m内側に立つ人を頭(約1.7m)まで隠すには、計算上フェンスが2.8m近く必要になります。ブロックを積んで作るなら建築基準法施行令の高さ制限を超え、フェンスで作るとしても基礎と支柱が住宅の外構では現実的でない規模になります。窓の位置や型板ガラス、テラス屋根やパーゴラ、樹高のある植栽といった、家の側での対処を検討してください。
隣の家の窓がこちらを向いています。目隠しを求めることはできますか?
民法235条は、境界線から1m未満の距離に他人の宅地を見通すことのできる窓や縁側(ベランダを含む)を設ける者は目隠しを付けなければならないと定めています。距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から垂直線で境界線まで測ります。ただし民法236条に、これと異なる慣習があるときはその慣習に従うという定めがあるため、実際の扱いは地域の事情にも左右されます。話し合いで解決しない場合は、自治体の相談窓口や専門家に確認してください。
道路側は高くしたほうがいいですか?
隠したいかどうかで変わります。道路側でよく使われる1.2m前後は歩く人の目線より低いため、こちら側は見えます。これは敷地を仕切りつつ見通しを残す高さで、完全に塞ぐと外から敷地の中が見えなくなり、人が入り込んでも気づかれにくくなるという事情があります。道路からの視線を実際に隠したいなら1.8m前後が必要です。仕切りとして低く抑え、室内が見えることはカーテンや窓まわりで対処する組み合わせも検討してください。
フェンスを高くすると強度に影響しますか?
影響します。目隠しフェンスは隙間のない面で風を受け止めるため、風を通すメッシュのフェンスより負担が大きく、高さを上げるほど支柱の根元にかかる力が増えます。そのため高さに応じて支柱を太くし、間隔を狭くし、基礎を大きくする必要が出ます。見積もりを比べるときは、本体価格だけでなく支柱の間隔と基礎の仕様が書かれているかを確認してください。
決める前に確認しておくこと
高さを選ぶ前に、次の5つを手元で確認しておくと、業者との打ち合わせが具体的になります。
- 隠したい相手は誰か(道路を通る人、隣家の1階、隣家の2階)
- 隠したいのはどこか(庭、リビングの窓、浴室の窓)
- 相手の窓と自分の敷地との距離
- 敷地と隣地・道路の高低差
- 既存のブロック塀があるなら、その高さと状態
このうち高低差と既存塀の状態は図面や現地を見ないと分からないので、複数の会社に見てもらうと判断材料が増えます。同じ敷地でも、高さの提案とその理由は会社によって変わります。
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