浴室リフォームの費用と工期
浴室リフォームの費用は60〜150万円が相場で、工事タイプ・ユニットバスのサイズ・メーカーのグレードによって金額が変わります。国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」によると、リフォーム資金の平均額は154万円で自己資金比率は75.8%。浴室単体のリフォームであれば多くの世帯が現金で対処できる範囲です。ただし「ユニットバスの交換で60万円」と「在来工法からの変更で150万円」では負担感がまるで違います。この記事では浴室リフォームの費用を工事タイプ別・サイズ別・メーカー別に分解し、工期やコスト削減の方法まで整理します。
浴室リフォーム費用の内訳
浴室リフォームの費用は大きく「ユニットバス本体」と「工事費」に分かれます。本体と工事費の比率はおおむね6:4で、本体側はメーカー定価から40〜60%引きの実売価格になるのが業界の慣行です。
費用の構成要素を分解します。
- ユニットバス本体 — 総費用の50〜60%。メーカー定価からの値引き後の実売で20〜80万円。グレードとサイズで幅が出る
- 解体・撤去費 — ユニットバスからの交換で5〜8万円、在来工法(タイル張り)の浴室を壊す場合は10〜20万円
- 設置・配管工事費 — 15〜30万円。給排水の接続、電気配線の処理を含む
- 土間コンクリート工事 — 在来工法からユニットバスに変更する場合に5〜15万円
- 脱衣所の内装補修 — 浴室側の壁を壊すと脱衣所側も補修が要る。壁・床の張替えで5〜10万円
- 給湯器の交換(任意) — 15〜30万円。設置から10年を超えていれば同時交換が経済的
リフォーム見積もりサイト「リショップナビ」の利用者データでは、浴室リフォームの平均施工費用は95万円、51〜100万円の価格帯が全体の約5割を占めています。100万円以上は約3割で、全体の8割が51〜150万円の範囲に収まります。
工事タイプ別の費用相場
浴室リフォームは既存の浴室の構造(ユニットバスか在来工法か)とリフォーム後の構造の組み合わせで4タイプに分かれます。
| 工事タイプ | 費用相場 | 工期目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ユニットバス → ユニットバス交換 | 60〜120万円 | 3〜5日 | 全体の約7割がこのパターン。中心価格帯は70〜100万円 |
| 在来工法 → ユニットバス変更 | 80〜160万円 | 5〜7日 | 土間工事と防水処理が追加。タイルの撤去費が上乗せ |
| 在来工法 → 在来工法改修 | 50〜200万円超 | 1〜3週間 | 素材の自由度が高い分、タイル・石材の選定で金額差が大きい |
| ユニットバス → 在来工法変更 | 100〜200万円超 | 2〜4週間 | 防水・排水の再施工が必要。希望する方は少数 |
最も件数が多いのはユニットバスからユニットバスへの交換で、既存と同サイズなら60〜100万円の範囲で収まるケースが大半です。在来工法(タイル張り)の浴室からユニットバスへ切り替える工事は、解体範囲が広くなり土間コンクリートの打設も必要になるため、80万円台からのスタートが現実的です。
サイズ別の費用目安
ユニットバスにはJIS規格のサイズ表記があります。「1216」なら浴室内寸が120cm x 160cm、「1616」なら160cm x 160cmです。前2桁が間口(短辺)、後2桁が奥行き(長辺)をセンチメートルの10の位で表現しています。
| サイズ | 内寸 | 向いている世帯 | 本体の実売目安 |
|---|---|---|---|
| 1014 | 100cm x 140cm | 一人暮らし・マンション小型 | 20〜40万円 |
| 1216 | 120cm x 160cm | 2人世帯・マンション標準 | 25〜50万円 |
| 1316 | 130cm x 160cm | ゆとりのあるマンション | 30〜55万円 |
| 1616 | 160cm x 160cm | 戸建て標準(1坪タイプ) | 30〜60万円 |
| 1624 | 160cm x 240cm | 戸建て大型(1.5坪タイプ) | 40〜80万円 |
サイズが上がるほど本体価格は高くなりますが、工事費自体の差はそれほど大きくありません。費用を左右するのは「既存と同サイズか、サイズアップするか」の判断です。既存スペースに収まるサイズへの交換は壁の移動や配管の再施工が不要なため、追加費用を最小限に抑えられます。サイズアップには壁の撤去・復旧が伴い、20〜50万円の上乗せが生じることがあります。
マンションでは梁や柱の位置でサイズに制約があり、現場を採寸してから製品を選定する流れが一般的です。
メーカー4社の価格帯と機能比較
ユニットバス市場は TOTO・LIXIL・パナソニック・タカラスタンダードの4社で大半のシェアを占めています。リフォームオンラインが実施した「リフォーム営業マンが選ぶ設備建材大賞 2025」では、中級価格帯で TOTO サザナが得票率56%で圧倒的な1位、普及価格帯ではタカラスタンダード グランスパが初の1位を獲得しています。
各社の代表製品と価格帯・値引き率を比較します。
| メーカー | 普及モデル | 中級モデル | 高級モデル | 値引き率の傾向 |
|---|---|---|---|---|
| TOTO | サザナ Sタイプ | サザナ Pタイプ | シンラ | 55〜62%OFF |
| LIXIL | リノビオV | リデア | スパージュ | 43〜61%OFF |
| パナソニック | オフローラ | ビバス | Lクラス | 39〜62%OFF |
| タカラスタンダード | グランスパ | グランスパ KC浴槽仕様 | プレデンシア | 16〜18%OFF |
TOTO・LIXIL・パナソニックはメーカー定価を高めに設定し、流通段階で40〜60%引きにする価格体系です。一方、タカラスタンダードは定価自体を抑えているため値引き率は小さいものの、最終的な支払い額は他社と競合する水準になります。見積もりを比較する際は「値引き率」ではなく「値引き後の本体価格+工事費の合計」で判断してください。
機能面の違いは次の表のとおりです。メーカー間で強みが異なるため、現物確認とあわせてリフォーム会社の一括見積もりサービスで複数社の提案プランを比較すると、機能・価格の適合度を判断しやすくなります。
| 比較項目 | TOTO サザナ | LIXIL リデア | パナソニック オフローラ | タカラ グランスパ |
|---|---|---|---|---|
| 床の特徴 | ほっカラリ床(柔らかく冷たくない) | キレイサーモフロア(冷たさ軽減+汚れ落ち) | スゴピカフロア(有機ガラス系) | タイル床(磁器タイルの耐久性) |
| 浴槽断熱 | 魔法びん浴槽(4時間で約2.5度低下) | サーモバスS(発泡ウレタン断熱) | 保温浴槽Lite | キープクリーン浴槽(高断熱) |
| 壁材の特徴 | お掃除ラクラクほっカラリ壁 | まる洗いカウンター対応壁 | スゴピカ壁(有機ガラス系) | ホーロー壁(マグネット自由設置) |
| 清掃性の工夫 | カビきれい排水口 | くるりんポイ排水口 | ささっとキレイ排水口 | 排水口まるごとステンレス |
| 独自の強み | 床の踏み心地と断熱の両立 | 取り外し可能カウンター | 酸素美泡湯(美容効果) | ホーロー壁のマグネット収納 |
選び方の判断基準として、冬場の冷えが気になる世帯はTOTOの床と浴槽断熱が手堅い選択です。掃除の手間を減らしたい方はLIXILの取り外し可能パーツ、収納の自由度を重視するならタカラのホーロー壁が向いています。パナソニックは酸素美泡湯という入浴体験の差別化が特徴で、美容やリラクゼーションに関心がある世帯に適しているでしょう。
戸建てとマンションの費用差
同じグレードの製品でも、戸建てとマンションでは工事費に差が生じることがある点を押さえておきましょう。
戸建ての場合、浴室の位置変更やサイズアップの自由度が高い反面、基礎・土台の状態確認が加わるのが特徴です。築30年超の木造住宅では浴室まわりの土台にシロアリ被害や腐食が見つかり、補修費として5〜20万円が追加されるケースも珍しくありません。
マンションでは管理規約による制約が大きく、工事時間帯の制限(9時〜17時が一般的)、搬入経路の確認(エレベーターや廊下の寸法)、排水管の勾配制約が戸建てにはない注意事項です。排水管の位置は建物の構造で決まっているため、浴室の位置変更やサイズアップが難しいケースがあります。工事前に管理組合への届出と近隣への騒音案内が必要で、着工の2〜4週間前に手続きを開始するのが通常の流れです。
費用面では、マンションの方が搬入経路の養生費(2〜5万円)や管理組合対応の手間分で若干高くなる傾向がありますが、大きな差ではありません。
オプション設備の費用
標準仕様に含まれない設備を追加すると、1つあたり数万〜十数万円が上乗せされます。追加を検討する際は「毎日の入浴で使うもの」と「あれば便利だが省いても生活に影響しないもの」を分けて優先順位をつけると予算が膨らみにくくなります。
- 浴室暖房乾燥機 — 8〜15万円。ヒートショック対策として設置率が高い。梅雨時の洗濯物乾燥にも使える。後付けより新設時の同時施工が配線・ダクト処理で有利
- ミストサウナ — 15〜25万円。浴室暖房乾燥機との一体型が主流で、単独設置より同時設置の方が安い
- 追い焚き機能 — 給湯器側の対応が必要。給湯器交換を含めると15〜30万円
- 手すりの設置 — 1〜3万円/本。高齢の家族がいる世帯では介護保険の住宅改修費(上限20万円、自己負担1〜3割)の対象になる場合がある
- 高断熱浴槽 — 3〜8万円の追加。各社の上位グレードでは標準装備のケースもある
- カウンターレス仕様 — カウンターを外して清掃性を上げる構成。追加費用なし、あるいは微減額になるメーカーもある
- ミラーの省略 — ワイドミラーを不要と判断すれば減額になるケースがある
オプションは積み上げると本体価格に迫る金額になることも珍しくありません。浴室暖房乾燥機は実用性と健康面のメリットが大きく、後付けの手間を考えると初回工事での設置を優先する判断が合理的です。
工期の目安と工事中の過ごし方
工事タイプ別の工期を改めて確認しておきましょう。
- ユニットバス → ユニットバス交換 — 3〜5日
- 在来工法 → ユニットバス変更 — 5〜7日
- 在来工法 → 在来工法改修 — 1〜3週間
- 浴室拡張を伴うリフォーム — 2〜4週間
ユニットバス交換の場合、1日目に既存ユニットバスの解体・撤去、2日目に配管・電気工事と土間の調整、3日目に新しいユニットバスの搬入・組立て、4日目にコーキング処理と仕上げ・試運転という流れが標準的です。在来工法からの変更では解体に2日、防水処理に1日、土間コンクリートの養生に1日が加わります。
工事期間中はお風呂が使えなくなる点に留意が必要です。3〜5日であれば近隣の銭湯やスポーツジムのシャワーで対応する方が多く、1週間を超える工事の場合は仮設シャワーの設置を業者に相談する選択肢もあります。冬場は銭湯への移動自体が負担になるため、春〜秋に工事を組むのが現実的でしょう。
費用を抑える5つの方法
浴室リフォームの費用���最適化するうえで有効な考え方を5つ挙げておきましょう。
サイズは既存と同じに保つ。 サイズアップは壁の移動や配管の再施工を伴い、工事費が20〜50万円上がることがあります。同サイズ交換なら既存の開口部をそのまま利用できるため、解体後の補修範囲が最小限で済みます。
グレードは部分的に上げるのが賢い方法です。スタンダードとハイグレードでは本体価格に20〜40万円の差が生じ、その差の多くはデザイン性と清掃性の違いです。清掃性を重視するなら床材だけミドル以上の仕様を選び、壁パネルはスタンダードに揃えるといった組み合わせが可能なメーカーもあります。
給湯器の同時交換は判断が分かれるポイントですが、設置から10年以上経過しているなら浴室工事に合わせて交換する方が長期的なコストは下がります。給湯器が壊れてから単独で交換すると出張費・工事費が別途かかるためです。
不要なオプションの削除も見逃せないポイントです。ミラー・カウンター・タオル掛けは外すことで数千〜数万円の減額につながるでしょう。
複数社への見積もり依頼は費用の適正化に直結する手段です。業者ごとにユニットバス本体の仕入れ値が異なり、工事費の計上方法にも差がある。同一条件で3社以上の見積もりを取ると、本体の値引き幅と工事費の内訳を横比較でき、過剰な項目を見分けやすくなります。リフォームの一括見積もりサービスを使えば同条件での依頼が効率的に進むはずです。
よくある質問
ユニットバスの寿命はどのくらいですか
15〜20年が交換の目安です。コーキング(シリコン)の劣化による隙間からの水漏れ、排水口まわりのカビの蓄積、壁パネルの黄ばみ・変色が交換を検討するサインになるでしょう。10年を過ぎたらコーキングの状態を年に1回は確認しておくと、水漏れによる土台の腐食など被害の拡大を未然に防げます。
在来工法の浴室をそのまま改修するメリットはありますか
サイズや形状の自由度が高く、タイル・石材・ヒノキなど素材にこだわれる点が在来工法の強みです。ただし防水工事の品質が施工者の技術に左右されやすく、費用も工期もユニットバスへの変更より大きくなるのが実態です。素材やデザインへの特別なこだわりがなければ、ユニットバスへの切り替えが費用対効果で優れた選択肢でしょう。フルリノベーションの費用と合わせて検討すると全体の予算配分を判断しやすくなります。
マンションで浴室リフォームする際の注意点は何ですか
管理規約で定められた工事可能時間帯の確認、搬入経路(エレベーターや廊下の寸法)の測定、排水管の勾配制約の3点が戸建てにはない注意事項です。排水管の位置は建物の構造体で決まっているため、浴室の位置変更やサイズアップが物理的に不可能なケースがあります。管理組合への届出と近隣への挨拶は着工の2〜4週間前に済ませてください。解体時の音と振動は予想以上に響くため、業者任せにせず自分でも近隣に声をかけておくことがトラブル予防の鍵です。
浴室リフォームに使える制度はありますか
高齢者向けのバリアフリー改修(手すり設置、段差解消、出入口の拡張)は介護保険の住宅改修費(上限20万円、自己負担1〜3割)の対象になり得ます。省エネ関連では高断熱浴槽の設置がエコホーム支援事業などの対象に含まれる場合があります。いずれも工事着手前の申請が条件で、事後申請は認められないのが原則です。自治体の窓口で最新の公募状況を確認してから業者と契約してください。制度の全体像はリフォーム補助金一覧(2026年版)でまとめています。
浴室と脱衣所は同時にリフォームすべきですか
同時施工が合理的です。浴室の解体時に脱衣所側の壁も一部撤去するため、浴室だけ先に工事すると脱衣所の壁の仕上げが中途半端になりがちです。脱衣所の壁紙・床材・洗面台の交換を同じタイミングで行えば、養生や足場の費用を共有でき、仕上がりも統一されます。水回りをまとめてリフォームする場合の費用感はキッチンリフォームの費用の記事も参考になります。
まとめ
浴室リフォームの費用はユニットバス交換で60〜120万円、在来工法からの変更で80〜160万円が相場です。費用に影響する要素はサイズ・グレード・オプション・既存浴室の状態の4つで、同サイズでの交換が最も費用を抑えやすい方法です。メーカー選びではTOTO・LIXIL・パナソニック・タカラスタンダードの4社がそれぞれ異なる強みを持ち、値引き率だけでなく値引き後の本体価格と工事費の合計で比較するのが正しい判断基準です。工期はユニットバス交換で3〜5日、在来工法からの変更で5〜7日。給湯器の同時交換やオプションの取捨選択で10〜30万円の調整が可能です。見積もりは既存浴室の状態で金額が変動するため、同条件で複数社に依頼し内訳を突き合わせるのが適正価格を見極める確実な方法です。
あわせて読みたい: キッチンも同時に検討する方はキッチンリフォームの費用と選び方、住まい全体のリノベはフルリノベーションの費用と期間で全体予算を確認できます。新築の補助金活用は住宅補助金一覧(2026年度)も参考にしてください。リフォームに関する記事はリフォームトピックページにまとめています。
出典
- 国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」リフォーム資金の平均額・自己資金比率
- 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2024年度 住宅リフォームに関する消費者実態調査」
- リフォームオンライン「リフォーム営業マンが選ぶ設備建材大賞 2025」バス部門
- 各メーカー公式Webカタログ(TOTO、LIXIL、パナソニック、タカラスタンダード)